怪しい「儲け話」にだまされて、コツコツ貯めたお金を一瞬で失う。失敗すれば、お金だけでなく親友や家族も失うような誘いに、なぜ乗ってしまったのか。「プレジデント ウーマン」(2018年3月号)の特集「お金に愛される10の習慣」から、2人の失敗談をご紹介します――。

「自然災害でエビ養殖が困難に」弁護士からの手紙

エビの養殖で、3000万円を失いました
54歳女性 会社経営
写真=iStock.com/SIphotography

はじまりは、親友の勧めでした。それまで証券会社を通じて株式投資はしていましたが、新規事業や未公開株などへの投資にはまったく興味がありませんでした。ある日、友人が持ってきたのは「海外でのエビ養殖事業」への投資話。彼女はすでに投資しており、配当もしっかり出ているというのです。

「そんなうまい話があるはずがない」と、最初はまったく信じず、むしろ疑ってかかっていたほど。しかし、何度も勧める彼女の押しの強さと、配当金が振り込まれた通帳の数字をこの目で確かめたことで、次第に「本当だ」と思うようになったのです。自分の中で欲が湧いたのかもしれません。

1口10万円。10口、100万円を投資。すると10日もたたないうちに約5%の配当金が振り込まれてきました。その後も10日ごとに振り込まれる配当金。すっかり信じてしまった私は、どんどん投資額を増やし、とうとう3000万円もの大金を投入したのです。「1年で倍に」は嘘じゃないと、有頂天になっていました。友人も数千万円を投資しており、「よかったでしょ?」「ありがとう」などと笑い合っていたものです。

その投資会社は儲かっているようで、一流ホテルでの有名人が登場する豪華な新年会なども開催され、「もっと儲けるぞ~」などと、出資者同士、大いに盛り上がったほど。が、それもつかの間、次第に配当金が滞るようになり、そして突然、「自然災害により、養殖が困難に」と弁護士から1枚の手紙が届いたのです。「大丈夫、大丈夫……。配当金がなくなっても、元本は戻ってくる……」と、自分に都合のいいように言い聞かせながらも、不安は募るばかり。代表が所在不明になったというニュースを見たときにはわが目を疑いました。また、養殖場そのものが小さな池のようなものだったと報道番組で知ったときには、私の中で何かがガラガラと音を立ててくずれ落ちました。

結局1年間で3000万円が泡と消え、私を勧誘した友人とも関係が途絶えました。彼女は相当な人数に出資を持ちかけていたようです。私も親戚に投資を促したばかりに、もう針のむしろ状態……。今でも法事にさえ参加できずにいます。「儲かる」。その言葉は魔力のように人の心を変えてしまいます。けれど「儲かる」話には、必ず落とし穴があるのだと肝に銘じています。

教訓!:「儲かる」話には耳を貸さない、近づかない