日々の生活のなかで、理不尽だと感じることはありませんか。法律の知識があれば、解決できるケースもあります。雑誌「プレジデント ウーマン」(2017年9月号)の特集「1時間でわかる法律相談」では、9つの身近なトラブルについて4人の専門家に相談しました。今回は「残業代」について――。(全9回)
▼持ち帰り仕事分のお金が欲しい!
産休・育休をとる人や、病気療養、介護休暇をとる社員が増えたのですが、会社が代理の人員を増やしてくれません。1人あたりの仕事量は増しているのに、残業代をカットしたいのか、定時退社を命じられています。仕事が終わらないので、仕方なく平日の夜や土日も自宅で仕事をしていて……。シワ寄せ分、家で仕事をしている分のお金を請求したい!

▼答えてくれたのは……一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会の方々
協会代表理事・FP 鬼塚眞子さん/弁護士 丸尾はるなさん/弁護士 山岸潤子さん/税理士 林 良子さん


自宅での仕事は業務外にあたる

【山岸】原則論からお伝えしますと、賃金をもらえるのは労働基準法上の労働時間です。ですから、自宅で仕事をするのは労働時間外とみなされます。

【丸尾】とはいえ、上司から具体的に「明日までにやってこい。でも残業は禁止」とか、「1週間後に提出。でも会社ではやってはダメ」という具体的な指示がある場合は、土日を労働時間にしてその仕事をしなさい、と受け取ることもできます。会社の業務時間内でできたはず、と言われないように、その日の業務内容、指示された時間とか締め切りまでの日数などを全部書き出しておいて、どう考えても終わらないことがわかるように証拠化しておくことが必要です。上司からの指示があったメールもあるといいですね。

【山岸】いま、働き方の制度が変わり始めている時期なので、シワ寄せがきてしまっている方もいると思います。本当は家でやるのではなく、「これでは間に合わないので、もう1人つけてください」と申し入れることのほうが大事です。

【丸尾】黙って持ち帰らず、公認ということを証拠として残しましょう。