フリーランスの場合は、出産も計画性が求められる
安定を捨てて飛び出せば、そこにはリスクも待ち構えている。フリーランスで英語の同時通訳者として活躍する田中丸はるなさんの場合、最初に直面したリスクは、夫の海外転勤だった。
「総合商社を辞めてフリーランスの通訳になり、ようやく仕事にも慣れたかなという頃、夫がブラジルに転勤することになったんです」
日英の同時通訳をしていたが、いったんは開店休業状態に。その間、エージェントを介して翻訳の仕事を紹介してもらうなどしてつないだ。
「通訳の場合、どちらかというと瞬発力勝負なのですが、翻訳は後々まで残るためきれいな文章に仕上げなくてはならない。人と会いたい私としては、通訳のほうが向いていると実感しました」
ブラジルで第1子を出産。子どもが1歳半の時に帰国し、「これでやっと通訳の仕事に戻れる」と安心したが、保育園探しには苦労した。「無認可を中心に探したのですが、どこも断られてしまい、20件目でようやく預けられるところが見つかりました」
様子を見ながら最初は午後5時まで、と時間を限定して仕事を再開。どうしてもキャンセルしなくてはならなくなった場合、現場で知り合った「ママ通訳」に代理をお願いするなどして、お互いに助け合った。