▼経営の本質がわかる

(左から)『投資される経営売買(うりかい)される経営』中神康議/日本経済新聞出版社、『道端の経営学 戦略は弱者に学べ』マイケル・マッツェオ他/ヴィレッジブックス

『投資される経営売買(うりかい)される経営』中神康議/日本経済新聞出版社
投資家が長期投資をしたいのはどんな経営をしている企業なのか、逆に短期売買の対象になるのはどんな企業なのか。これらを投資する側の行動原理とともにわかりやすく解説している。投資の本質がわかると同時に、長期的に成長する会社や経営についての理解も深まる。

『道端の経営学 戦略は弱者に学べ』マイケル・マッツェオ他/ヴィレッジブックス
「規模の経済」など経営理論はたくさんあるが、架空の例題で学んでも身につかない。本書はアメリカのごく普通の人々が、自分の店をどう経営しているのかが書かれている。身近な話題として読みながら、さまざまな経営の基本的なロジックや戦略が具体例とともに深く理解できる。

▼経営者としての女性を考える

『おそめ 伝説の銀座マダム』石井妙子/新潮文庫

『おそめ 伝説の銀座マダム』石井妙子/新潮文庫
「好きこそものの上手なれ」を極限まで突き詰められるかが、経営の成否の大きな要因だと私は考えているが、ある銀座のマダムの成功と零落を描く本書は、女性経営者としての先駆的な生き方を示しながら、経営戦略やイノベーションについても深い示唆を与えてくれる。

▼日本の現状を知るのに欠かせない

(左から)『東條英機と天皇の時代』保阪正康/ちくま文庫、『日本を決定した百年』吉田 茂/中公文庫

『東條英機と天皇の時代』保阪正康/ちくま文庫
日本がなぜ第2次世界大戦に突き進み、敗戦をどのように迎えたのか。戦争回避のため、ぎりぎりまで奔走した戦犯、東條英機の足跡をたどりながら描いている。沖縄の基地問題、天皇制などの日本の現状について、場当たり的な感情論でなく、経緯や歴史的背景を踏まえて考えられる。

『日本を決定した百年』吉田 茂/中公文庫
明治時代の近代国家としての歩みから戦後の復興までを、敗戦後の日本を立て直した首相吉田茂が、自らの見聞録として、簡潔明快につづる。戦後の55年体制はどのようにできたのか、憲法改正にはどういう意味があるのか。東條英機の本とセットで読むことでさらに理解が深まる。

楠木 建
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。専門は競争戦略論。1964年生まれ。一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。ボッコーニ大学経営大学院客員教授などを経て現職。近著に、『「好き嫌い」と才能』(東洋経済新報社)。
 

奥田由意=構成