「キラキラ言葉」のつくり方鉄則4

1. 矢印をイメージする

一緒にお祝いしましょう
×お祝い会に参加しますか?

“伝える”は私事ですが、“伝わる”は相手事。受け取る相手の心理状態を考えられたものがやはり伝わります。たとえば、何かのお祝いの会の幹事になった場合、「一緒にお祝いしましょう」とすると、それぞれのモチベーションで参加できます。いかに相手を動かす言葉になっているか、それが矢印をイメージするということです。

 
▼尾形さんが考えたLUMINEのコピー1

“雨が嫌いだった頃、わたしはまだ誰のことも、好きじゃなかった”
おしゃれから気持ちが遠のく梅雨時にファッションをうたったコピー。「雨の日もおしゃれしよう」では届かない。「雨ってすてきだよ」は言いすぎ。「雨も悪くない」ぐらいの気持ちになってもらえる矢印を考えて、生まれました。

2. 独り言をなくす

お忙しいとは思いますが、お変わりありませんか?
×ご多忙と存じますが、△△の案件について失礼します

メールやSNSなど毎日多くの情報量を受けていると、誰がしゃべっているかわからない、いわゆる定型の文章は、読むモチベーションがどんどん下がります。「お変わりありませんか」など、自分の使う言葉に、読み手への気遣いや書き手の熱意がのると伝わりやすくなるでしょう。独り言でない言葉をくれる人は印象に残ります。

 
▼尾形さんが考えたLUMINEのコピー2

“恋は奇跡。愛は意思。”
個人的には強い意志や正直さなど、本当のことが入っている言葉に引かれます。このコピーは“刺激”と“励まし”の言葉を内包したもの。こうした意図があって初めて、人を動かすことができるのではないかと思います。

3. 全部書き出してからそぎ落とす

これまで素晴らしい時間をありがとうございました
×在職中は公私にわたり、いろいろとお世話になりました

考えつくされた言葉は主張が強くもありますが、考えつくされているからこそ、読み手はストレスなく読めます。無意識に書いた言葉はわかりにくい。ですから、自分の伝えたいことは一度、全部書いてから、そぎ落とすこと。その作業から、相手を想像する時間が生まれるのです。そこに“正直な言葉”があると、より心にささりやすいでしょうね。

 
▼尾形さんが考えたLUMINEのコピー3

“終わりに近づくほどどれだけでも愛せることを知る”
年が明けたらバーゲンとわかっている年末に出したコピー。終わっていく暮れのファッション欲をどうやったら刺激できるか、検証して出来上がったもの。実際に新しい服が欲しくなったという声も聞きました。

4. 寄って、引いて、検証する

・音読する
・手で書く
・自分にメールを送る

“相手のことを考える”といっても、結局はこちらの思い込みなので、その思い込みをどこまで疑って、引いて見られるか、検証することは大切です。その際には音読したり、手で書いたりするのがおすすめ。客観的に見ると、自分が本当に言いたいことを伝えられているか、ただ体裁をととのえているだけか、その差異が見えてきます。

池田純子=構成