60代男性が「第3の活動」に目覚めたきっかけ
そして、藤崎さんも前田さんも、まずは「興味あり」から入り、楽しみながら継続している。この“継続”がとにかく大事、と前出の有川さんも語る。
「私の経験上、たいてい3年やったら食べていけて、5年やったら、ある程度ベテランと言われて、10年やったら教えるレベルになれます。だからこそ長く続けることが大事だし、そのためにはやっぱり好きなことをやったほうがいい。会社を辞めても、私にはこれがあるというものがあれば強いですよね」
有川さんの知り合いの編集者は、ヨガのインストラクターの免許をとったものの、年齢が年齢なだけに続けていけるかどうか心配だった。それを聞いた有川さんはこう伝えたという。
「私がもしヨガを習うなら、20代や30代の若い先生ではなく、60代の先生に習いたい。40代や50代の体のこともよく知っているし、年をとってどこが動かなくなるか、ご本人もわかっているわけですから、年配のヨガの先生は絶対に需要があるって話しました」
自分で諦めてしまったら、そこでおしまい。ニーズは意外なところに転がっているものだし、何より自分が好きなことを続けると精神衛生上もいいはずだ。
世の中の価値観にとらわれず、自分の好きなことを深めていく、そうすると人生の可能性が広がっていくのだ。第3の活動は、まだ見ぬ自分の大きな可能性を探るプロセスともなるかもしれない。
ところで有川さんが今、夢中になっている第3の活動とは何だろうか。
「“自然に触れ合う”ことですかね。最近、鹿児島県の限界集落と呼ばれるようなところに田舎暮らしの家を持ったのですが、庭の野草で料理したり、薬草で虫刺されを手当てしたり、こういう自然と触れ合う生活が、今まで都会生活を送ってきた私にとってはすごく新鮮で。近所のおばあちゃんたちにもらった手作りの煮物や漬け物が本当においしくて……、そうやって感動すると食や健康や環境にも興味が出てきて、また第3の活動につながっていくんですよね」