いずれにしても、ビジネスの場においてSNSは実際に会う前から見られている、あるいは将来自分とつながる可能性のある人たちが見るかもしれません。載せる内容には十分に注意を払う必要があります。

イラスト=米山夏子

そこで、ぜひしてほしいことが過去の投稿の棚卸しです。仕事、友達、趣味などテーマごとにカウントしてみてください。プライベートすぎることを書いていませんか? ビジネスで見られる可能性があるわけですから、女子会で悪ノリした写真やデートの写真はあまり載せないほうがいいでしょう。載せるとしても選んで載せる。書いている内容そのものもポジティブとネガティブに分けてみましょう。ネガティブな内容が多いと、新しいプロジェクトでつながりができた人からは、よい印象を抱かれません。やたらに自撮りが多いと嫌悪感を抱く男性も少なくないようです。そんなふうに客観的に自分のSNSを見直してみましょう。

「他人はあなたが自分を扱ったように、あなたを扱う」という言葉があります。つまり自分が自分を価値の低い人間として粗末に扱うと、相手も自分を粗末に扱う。自分を尊重された人間として大事に扱うと、相手もそういう人だと思い一目おくということです。自己紹介をしたあとに、相手の人から「すごいですね」「素晴らしいですね」と褒められたら、絶対に「いえいえ、そんな」と謙遜しないでください。

例えば「女性で部長って、すごいですね」といわれたら、「おかげさまで」「上司に恵まれまして」といえばいい。けれども「部下は1人しかいないんですけれどね」「もう名前だけで」など、自分が自分を否定形で貶めて扱うと、次からは相手も「この人は1人しか部下のいない名ばかりの役職だ」といった扱いをするわけです。ほんとうにもったいない。それに相手も自分のコメントを否定されたら、次の言葉がなくなりますよね。これでは次の会話の1時間につながりません。自己紹介をしたあとは、相手のコメントに対する返事にも気をつけてください。

私が繰り返しお伝えしていることですが「一挙手一投足に意図をもって話す」ことを、どんな場面でも大切にしてください。

 
矢野 香
信頼を勝ち取る「正統派スピーチ」指導の第一人者。NHKキャスター歴17年。大学院で心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究し、修士号を取得。現在、国立大学の教員として研究を続けながら、政治家、経営者、上級管理職などに「信頼を勝ち取るスキル」を伝授。全国から研修・講演依頼があとをたたない。著書に『「きちんとしている」と言われる「話し方」の教科書』(プレジデント社刊)などがある。http://www.authenty.co.jp/

池田純子=構成 米山夏子=イラスト