自身を示す「アイコン」として服を選ぶ

2つ目のポイントは、自身を示すアイコンとして服を選ぶこと。私はいつも人前に出るときは、この連載のプロフィール写真にもある紺に白いストライプのスーツと決めています。

なぜそんなことをしているのか。理由は「私」を覚えてもらうためです。アナウンスの仕事をしていたころからのこだわりです。NHKでは主に4月から新番組が始まり、2月ごろにそのための写真撮影があります。そのときに着た服とイメージは、1年間はなるべく変えません。長い髪で番組を紹介する写真を撮ったら、1年は髪を切らないほうがいい。ニュースを伝えるにはいつも同じであるほうが安心するし、主役であるニュースを聴いてくれます。

小物を取り入れるだけでも構いません。女性はスカーフやチーフ、ブローチなどのアクセサリーでも応用できます。いつもどこかにピンクを使っている、いつもどこかに蝶や花の柄を使っているというように、色か柄を統一することで「この色はこの人」というイメージをつくり出すことができます。

「Aさんはいつもピンクが好きと言っているから、ピンクのハンカチを贈ろう」というように、あの人に贈りたいと思わせる人になる。これがブランディング、自分をアイコン化していくということです。

常にアイコンを身につけ、それをきっかけに印象に残るスピーチができるようにしておくことが大切。(イラスト=米山夏子)

さらに、アイコンには意味が必要です。「いつもグリーンを着ていますね」「蝶の柄、好きですよね」と言われたときに、「そうなんです、好きなんです」だけではなく、なぜグリーンなのか、なぜ蝶柄をいつも取り入れているのかを説明しましょう。アイコンを通じて自分のPRや話を膨らませることができます。

例えば、蝶をアイコンに取り入れたあるクライアントの女性。蝶には新しく羽ばたくとか、さなぎから蝶になるといった飛躍や誕生といった意味があります。そこで彼女は、蝶の真珠のブローチをつけるようにしました。それだけでなく、ハンカチやノートなどにも蝶柄を取り入れました。彼女は蝶が大好きだったわけではありません。ちょうど役職に就いたタイミングだったので、「私もこれからさなぎから蝶に変わりたいし、大きくチャレンジしていきたいから」と話すための仕掛けです。「こういうメッセージを人に話したい」と考えたら、「そのモチーフとしてちょうどいいのは何だろう」と逆算する必要があります。色も同じで、その色から印象に残る自分のスピーチができるかどうかが大切です。