全てが嫌にならないように、全体像をつかむ
【河崎環さんの回答】
嫌なことを後回しにしてしまうだなんて、もしや私のことかとご相談内容を二度読みました。夏休みの宿題は最終日にまとめてやって、しかも大抵間に合わなかったタイプです。
ただ、さすがに大人になるとそれではいかんということで、シンドイ仕事の後に映画や漫画やライブやうまい酒などの楽しみを待たせておくという、原始的な「鼻先ニンジン」方式でどうにか人生を送っております。で、タスクの着手順というのは、「お弁当、好きなものから食べる派? 嫌いなものから食べる派?」に通じるものがあるのではないかと思うのです。
例えば「料亭のお花見弁当、でもメインは何の手違いか“くさや”」のような、メインディッシュが強烈に苦手なものでありながら、他は美味しく可愛らしい料理がちょこちょことたくさん詰められたようなものを思い浮かべましょう。
「嫌なこと、問題があることほど早くに着手した方がいい」というポリシーは立派だと思いますし、その方がうまくいく人がいるのも分かります。そういう方々は「嫌いなものから食べられる派」です。でも、いきなりくさや(シンドイ仕事)に手を出したら、くさやに時間がかかりすぎるし気持ちは乗らないしで、お弁当(その日のタスク)自体を放り出したくなっちゃうタイプもいますよね。
ですから、ちょこちょこと美味しくて可愛いもの(負担感のない作業や仕事)を食べながらお弁当の面積を小さくしていって、全体の負担感を減らして集中力を高めていき、よしそろそろくさやをやっつけるかと思ったら、小さく分けて一口ずつ攻略していけばいいのではないでしょうか。すると、くさやも意外と完食できたりするものです。「お弁当を好きなものから食べるけれども、ちゃんと完食する派」のやり方です。
そのためには、お弁当全体を一目で眺められるようにしておくのが大事です。朝、その日のタスクを難易度で分けて攻略順を組み立てられるように、そしてくさやだと思っていたものが実はサバの塩焼きだとすれば、それを早めに知るためにも、朝のメールチェックはひとまず全て読んで、全体を把握するのをお勧めします。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。
文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行