仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、100冊以上の著作を誇る作家の本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、今回は「後回しにする癖」についてのご相談です。
嫌なことを後回しにしてしまいます。例えば、出社後メールチェックをする際に、順調にいっていない仕事に関するメールを読むのを最後にしてしまったりします。読んでみると、何の問題もなく、単なる取り越し苦労ということもよくあります。頭では嫌なこと、問題があることほど早くに着手した方がいいと分かっているのですが、気持ちと行動が付いていきません。どうしたらいいでしょうか。
嫌なことが面倒くさくない人なんていない!
【本田健さんの回答】
これは、難問ですね。答えるのが難しいので後回しにしたくなりますが、なんとか頑張ります(笑)。
ライフワークを生きている人、自分の才能を生かしている人と会っていて、おもしろいなと思ったことがあります。彼らは、朝から夜までワクワクして生きているのかと思いきや、そのライフワークの中に面倒くさいことがいっぱいあって、実に辛そうに取り組んでいることもあるのです。
以前、テレビで、宮崎駿監督が、映画のコンテを「面倒くさい、面倒くさい……」と呪文のように唱えながら、それでも集中して描いている様子を見たことがあります。宮崎さんのような一流のアーティストでも、面倒くさいのかと衝撃的でした。同時に、それはそうだよなぁ、ととても共感できました。
それから、一流の人を見かける度に、その仕事の様子を観察するようにしてきました。ある時、お寿司屋さんに行ったら、とても手間のかかる料理を作っているので、「これって面倒くさくないですか?」と聞いてみたのです。
すると、「もちろん、面倒くさいですよ」と答えてくれました。その後に続く答えが面白かったのです。「でも、それをやらなかったら、自分を許せません。やらないほうが、気持ちが悪いんです」とのことでした。
みんな、面倒くさいんです。でも、そういうときに、「エイッ!」とやってしまうのか、後回しにするのか、2種類のやり方があるだけです。最終的にそれをやる必要があるとしたら、あなたはどうしたいですか?
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2200万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/
全てが嫌にならないように、全体像をつかむ
【河崎環さんの回答】
嫌なことを後回しにしてしまうだなんて、もしや私のことかとご相談内容を二度読みました。夏休みの宿題は最終日にまとめてやって、しかも大抵間に合わなかったタイプです。
ただ、さすがに大人になるとそれではいかんということで、シンドイ仕事の後に映画や漫画やライブやうまい酒などの楽しみを待たせておくという、原始的な「鼻先ニンジン」方式でどうにか人生を送っております。で、タスクの着手順というのは、「お弁当、好きなものから食べる派? 嫌いなものから食べる派?」に通じるものがあるのではないかと思うのです。
例えば「料亭のお花見弁当、でもメインは何の手違いか“くさや”」のような、メインディッシュが強烈に苦手なものでありながら、他は美味しく可愛らしい料理がちょこちょことたくさん詰められたようなものを思い浮かべましょう。
「嫌なこと、問題があることほど早くに着手した方がいい」というポリシーは立派だと思いますし、その方がうまくいく人がいるのも分かります。そういう方々は「嫌いなものから食べられる派」です。でも、いきなりくさや(シンドイ仕事)に手を出したら、くさやに時間がかかりすぎるし気持ちは乗らないしで、お弁当(その日のタスク)自体を放り出したくなっちゃうタイプもいますよね。
ですから、ちょこちょこと美味しくて可愛いもの(負担感のない作業や仕事)を食べながらお弁当の面積を小さくしていって、全体の負担感を減らして集中力を高めていき、よしそろそろくさやをやっつけるかと思ったら、小さく分けて一口ずつ攻略していけばいいのではないでしょうか。すると、くさやも意外と完食できたりするものです。「お弁当を好きなものから食べるけれども、ちゃんと完食する派」のやり方です。
そのためには、お弁当全体を一目で眺められるようにしておくのが大事です。朝、その日のタスクを難易度で分けて攻略順を組み立てられるように、そしてくさやだと思っていたものが実はサバの塩焼きだとすれば、それを早めに知るためにも、朝のメールチェックはひとまず全て読んで、全体を把握するのをお勧めします。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。