理論的な説明ではなく、相手の気持ちに寄り添って

【本田健さんの回答】

仕事とはどういうものなのか、というのは、個人の価値観です。夫婦で、お金、仕事、人生に関して、意見が違って当然です。そういうときに、どちらが正しいという価値観の戦いをやっても、お互いの溝が深まるだけとも言えます。「私が正しい」ということを振りかざす代わりに、どうすればいいのか、2人で一緒に考えることが大切です。

誰かを説得するときに、理詰めでいくのが得意な人と、感情に訴えるのが得意な人の違いもあります。あなたも、旦那さんも、理論的に説明しようとしていますが、どちらも、お子さんの説得には失敗しているようです(笑)。

なぜなら、息子さんは、一緒にいたい! と思っているだけで、ただその気持ちを分かってもらいたいだけなのです。その証拠に、5分後、友だちと走り回って遊んでいる息子さんは、お父さんとお母さんのことなんてすっかり忘れているはずです。子どもは、その瞬間を生きているので、そのときに悲しいだけで、すぐに気持ちは切り替わります。

今度は、別れ際に、お母さんも離れたくない、一緒にいたいという気持ちを感じてあげられるか、やってみてください。息子さん以上に、私もあなたと離れたくないという気持ちを感じて涙が出るくらいになれば、今度は、息子さんの方がきょとんとして、「お母さん、泣かないで。僕、大丈夫だから、仕事頑張って!」と、言ってくれるかもしれません。

子育ても、夫婦関係も、相手の気持ちに寄り添う練習です。このことをきっかけに、息子さんや旦那さんの気持ちを“感じる練習をしてみましょう。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2200万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行