女の重たさは「嫉妬」でできている

結局、ミナミさんは結婚相談所に入会しなかった。そして1年後に、職場の4歳年下の男性と結婚をした。

彼女は、私のアドバイスから3カ月後(遅い!)にクルミさんに思い切って謝ってみたそうだ。クルミさんはホッとした表情で答えたという。「先輩、会社の決まりですから、注意してくれていいんですよ」と。2人は、面倒見のいい先輩と素直な後輩という元の関係に戻った。

クルミさんに本当の思いを伝えることで、ミナミさんは「自分よりも若いもの」への嫉妬から解放され、今まで以上に生き生きと仕事をするようになった。そうやってどんな相手に対しても丁寧に接する姿に、年下の夫は胸を打たれたのだ。

かつて美人だともてはやされた経験がある人を見ると、若い女性への対抗心と嫉妬心に支配されていることが少なくない。しかし対抗心と嫉妬心というネガティブなパワーは、“現在の美”をくすませてしまう。ミナミさんが私の相談所を訪れた際に、どんな問いかけに対しても「いえ」という否定的な言葉からしか返答しないことによって場を凍らせていたのは、そのネガティブパワーによるものだ。

誰でも、いつかは若さを失う。けれども若さと美しさは別物だ。人はその時その時の美しさを輝かせることができる。

これは美醜に限った話ではない。会社で仕事をしていて、若い才能の台頭に恐れを感じたり、疎ましく思ったりしたことはないだろうか。今、自分にある輝きを見失わないように、曇らせないように生きることが大事なのだ。

大西明美
婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。
著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。