「私も彼を試しました」

「大西さん、実はあの日、私も彼を試したんです」えっ!? どういうことだ?

カオリさんは続けた。「私が謝ったらどうするかなって。謝るという行為は、相手の発するメッセージを受け入れたということを示す1つの形だと思うんです。ナイフとフォークが使えるかどうかだけで、この先を一方的に決められるなんて理不尽じゃないですか。そこを逆手に取ったんです。その理不尽さに反発せずに、“試されている”ということを、現実として私が受け入れている姿を見せたんです。彼が私の対応を評価できるなら、私は彼を受け入れようと思いました」

「それで、どうなったんですか?」「『つらい思いをさせてごめんなさい』と彼も私に謝りました。『いいえ、私がテーブルマナーを身に付けていないからです。よかったらこれから教えてもらえませんか』と答えたら、彼はにっこりうなずいたんです。だから、彼と続けていくことを決めました」

この試す男による“面接お見合い”の主導権を握っていたのはカオリさんだった。男性が仕向けてくる上から目線の理不尽さに対して、反発した態度を取るのではなく、受け入れることで主導権を握ることもできるのだ。

身もふたもない言い方だが、お見合いというのは、お互いが相手のことを値踏みし合う場だ。時にはぶしつけな視線にさらされることもあるだろう。そんな時こそこの“トリック”を試してみてほしい。つまらない面接はさっさとクリアして、お互いの本質をより深く知るステップに進むことが結婚への近道となるのだ。

大西明美
婚活アドバイザー。結婚相談所を経営。1977年大阪府生まれ。東京都文京区在住。過去20年で延べ4万3000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。小中学校ではイジメを受け友達がいなかったため、周囲の人間関係を観察することを目的にして登校を続ける。特に恋愛に注目してコミュニケーションを学ぶ。高校生のとき、初めてできた友人に恋愛相談を持ちかけられ、日頃鍛えた人間観察眼を生かしたアドバイスを行い、無事に解決。それをきっかけに恋愛相談が立て続けに舞い込むようになる。婚活指導を通して、5年間で200組以上のカップルを成婚へと導いている。
著書に『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版)がある。