ビーントゥーバーで個性豊かなカカオ豆を食べ比べ
では、次にビーントゥーバーの世界をのぞいてみましょう。コーヒーのように、産地や農園などで異なるカカオ豆の味わいを楽しむビーントゥーバーは、欧米で生まれた新しいチョコレートの流れ。日本でもここ2、3年で認知度は高まり、「ショコル」(世田谷区深沢)、「クラフト チョコレート ワークス」(世田谷区池尻)「バニラビーンズ」(横浜みなとみらい)などビーントゥーバーの専門ショップが誕生しています。
その火付け役というべき店が、渋谷区富ヶ谷にある「Minimal(ミニマル)」です。仕入れているのは15カ国、25種類のカカオ豆。このうち5~8種類(時期により異なる)がタブレットになって店頭に並びます。どれも砂糖以外に何も加えず、シングルオリジンでチョコレートにするのが特徴です。
「工程は選別・焙煎・摩砕・調合・成形に分けられますが、焙煎を強くしたり、荒く挽いたりとカカオ豆ごとにすべて変えて、個々の持ち味を引き出すようにしています」と代表の山下貴嗣さんは言います。
そのチョコレートはカカオの粒を残しているため、カリカリと小気味いい歯応え。とはいえ、味はナッツのように香ばしいもの、柑橘に似たさわやかな酸味があるもの、スパイスの香りを持つものなど、「カカオによってこんなに違うのか」と驚くほどです。
こうした味の違いを食べ比べできるのが、「Minimal Flight2016」と名付けられたバレンタイン用のセット。産地の異なる8種類のカカオ豆からつくった小型のタブレットが、カラフルなケースに詰められています。
そのまま味わうだけでなく、飲み物とマリアージュさせるのが山下さんのお薦め。「ナッティなハイチ産はコーヒーやミルクティーと、フルーティーなベトナム産はワインに、スパイスやココナッツのニュアンスを感じるガーナ産は、意外にも熟成感のある日本酒と相性がいいですよ」
産地に思いを馳せながらゆったり味わえば、気分はぐるり一周世界旅行。日頃、忙しく働くあなたも、とっておきのチョコレートでカカオの旅に出かけてみませんか。
東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9
電話/03-6322-9998
営業時間/11:30~19:00 月曜定休(祝日の場合は翌日)
タブレットのビーントゥーバーチョコレートはその時々で種類を違えて5~8タイプ(時期により異なる)を販売。カカオニブやドリンク用のパウダーチョコレート、チョコレートドリンクなどもある。詳しくはホームページで。
ライター。1年半のOL生活を抜け出し週刊誌の記者となった後、フリーに。食や住まいなど生活に関わる分野で執筆。dancyu誌での執筆は1993年から。仕事と両立してきた子育ては卒業間近。