今年のバレンタインは、チョコレートが溶けてしまいそうな白熱ぶり。自分への「ご褒美ショコラ」、お目当てはもう決めましたか? 編集部がお薦めしたいのは、アントワープ発・気分がアガること間違いなしの一粒と、チョコレートマニア垂涎のビーントゥーバー。ワインと合わせる、コーヒーと合わせる、飲み物との相性を探るのも楽しみです!

街のスイーツがバレンタイン色に染まるシーズンの到来。前回「バレンタインには『ご褒美ショコラ』バイヤー厳選今年のトレンド教えます」ではデパートのバレンタインフェアをウォッチしましたが、続いてはショコラトリーのバレンタインアイテムに注目してみましょう。

【写真上】カカオ豆【写真下】カカオ豆の焙煎風景。豆の個性に合わせて焙煎や挽き方に変化をつけています。写真はどちらも渋谷区富ヶ谷に店を構える「Minimal(ミニマル)」より。

紹介をする前に、まず、知っておきたいのは、チョコレートの潮流です。最近、ビーントゥーバーという言葉をよく耳にしますよね。これはビーン、つまりカカオ豆を仕入れて、焙煎から製品に仕上げるまでを一つの工房で一貫生産するという意味。ここ数年、そうしたカカオ豆の味わいをストレートに生かしたタイプのチョコレートが注目されて、専門店も増えているのです。

一方で、従来のフレーバーを楽しむタイプのチョコレートも変わらぬ人気を誇っています。例えば、ガナッシュにラズベリーなどの果実や、オレンジなどの柑橘でアレンジをしたり、コーヒーや紅茶のフレーバーにしたり、胡椒を忍ばせたり。

もちろん、プレーンなものでも、カカオの風味や舌触りのなめらかさなどによって味わいはさまざま。香ばしいプラリネをフィリングにしたチョコレートもよく見かけますよね。さらに、コーティングするチョコレートによっても味わいは変わり、無限のバリエーションが生まれるというわけです。

今回は、これら2タイプのチョコレートから、お薦めのご褒美チョコをピックアップしてみました。自分のためにどんなチョコレートを買おうかと悩んでいる人は必見です。

甘いダイヤモンドは、フレーバーで楽しむ

まずはお馴染みのフレーバーで選ぶタイプのチョコレートから。選んだのは、ベルギーの老舗ショコラトリー「デルレイ」のバレンタインコレクションです。本店があるのは、ベルギーの北部に位置する都市、アントワープ。「フランダースの犬」の舞台として、またファッションの発信地としても知られる街です。

このアントワープはダイヤモンド取引の中心地であり、それにちなんで生み出されたのが「デルレイ」の代名詞となるダイヤモンドショコラ。名前の通り、ダイヤモンドをモチーフにした美しいデザインから、“食べるジュエリー”と称される名品です。

【写真左】デルレイと言えば麗しいダイヤモンドモチーフが特徴。ハート型も人気で、フレッシュなフレーバーに思わず笑顔がこぼれます。【写真右】デルレイ ダイヤモンドBOX 3個入り 1944円(銀座店限定)/光沢のある白地のダイヤモンド型ボックスは銀座店だけで買えるオリジナル。レッドダイヤモンドダーク、ピンクダイヤモンド ミルク、プレーンダイヤモンド ダークの3種類がセットに。(価格は税込み)

バレンタインコレクションでは、8種類のダイヤモンドショコラをラインナップ。定番に加えて、毎年、バレンタインの時期だけに登場する限定フレーバーにも、今年は新作が3種類登場。

ハート型は3種のフレーバー。【写真上左】レッドハート ミルク【写真上中】ピンクハート ダーク【写真上右】オレンジハート ミルク/ほのかに香るオレンジ風味のガナッシュをミルクチョコレートでコーティング。※ハート型のチョコレートはいずれもセット商品としての販売のみ。【写真下】デルレイ セレクション2個入り 1080円/ピンクダイヤモンド ミルクとレッドハートミルクを組み合わせたギフトセット。手頃な価格で、義理チョコとしても人気です。(価格は税込み)

レッド、オレンジなどそれぞれに、カラーも味わいも個性的。例えば、バレンタイン限定の「ピンクダイヤモンド ミルク」は、ミルクチョコレートに口溶けなめらかなキャラメルガナッシュを入れたもの。毎年、この登場を心待ちにしているファンもいる人気フレーバーです。新作の「グリーンダイヤモンド ダーク」はダークチョコレートの中に、赤い果実のティーガナッシュが隠れています。

さらに、見逃せないのはパッケージ。今年はバレンタイン限定のダイヤモンド型ボックスに赤、白、茶の3色が用意されています。どの色もジュエリーボックスを思わせるゴージャス感。ダイヤモンドの箱から現れるチョコレートのダイヤモンド……。想像するだけで胸がときめきますよね。

デルレイ・ジャパンの角田奈菜子さんによれば、実際、ダイヤモンドショコラはご褒美チョコとして買う人が多いそう。また、バレンタインの日に友達同士でチョコレートを持ち寄ってみんなで楽しむ、シェアチョコアイテムとしても女性に人気なのだとか。

また、ぷっくりとしたグラマラスなハート型も、個性的なフレーバーが際立ちます。オトナっぽい赤が印象的な「レッドハート ミルク」は、ミルクベースの甘酸っぱいパッションフルーツ風味ガナッシュをミルクチョコレートでコーティングしたもの。「ピンクハート ダーク」はマダガスカル産カカオ64%を使用したフランボワーズ風味のガナッシュとダークチョコレートコーティングの組み合わせ。コーヒーと一緒にのんびり、ウイスキーと合わせてゆったり、贅沢なひとときを楽しめそうです。

そんなデルレイのショコラは全て、アントワープの本店で一つずつ丹念に手づくりされています。本店以外で購入できるのは日本だけで、銀座店は世界で唯一の直営店なのです。そのスペシャル感もご褒美チョコにぴったりといえるでしょう。

※バレンタイン限定のダイヤモンド型ボックス(赤、白、茶、銀座店限定パッケージ)は数量限定につき、なくなり次第終了となります。お買い求めの際は電話確認の上、来店ください。

■デルレイ 銀座店
東京都中央区銀座5-9-19 銀座MCビル1F
電話/03-3571-5200
営業時間/11:00~19:00 無休
ダイヤモンドショコラはレギュラーの4種類のみ1個でも購入できる。ほかに、デザインも味もさまざまなボンボンショコラを販売。詳しくはホームページで。 

ビーントゥーバーで個性豊かなカカオ豆を食べ比べ

では、次にビーントゥーバーの世界をのぞいてみましょう。コーヒーのように、産地や農園などで異なるカカオ豆の味わいを楽しむビーントゥーバーは、欧米で生まれた新しいチョコレートの流れ。日本でもここ2、3年で認知度は高まり、「ショコル」(世田谷区深沢)、「クラフト チョコレート ワークス」(世田谷区池尻)「バニラビーンズ」(横浜みなとみらい)などビーントゥーバーの専門ショップが誕生しています。

【写真左】Minimal Flight 2016/24枚入り5940円。中南米、アフリカ、アジアにある8カ国のカカオ豆を8種類のチョコレートにしたバレンタイン向けのセット。スミレの花のような風味のニカラグア産、ピーナッツに似た香ばしさのタンザニア産、シナモンやドライフルーツの風味を感じるガーナ産、フルーツヨーグルトのような酸味と甘みが絶妙なマダガスカル産、スパイシーなインドネシア産など、産地ごとのカカオ豆の繊細な特徴が味わえる。限定2650セット。取り置きは不可。【写真左】看板商品の板チョコレートは、味わいの特徴からNUTTY、FRUITY、SAVORYの3つのラインを製造。使われるカカオ豆は季節で変わり、原産国、品種、収穫時期、製法などを細かく記載したレシピカードをコレクションする楽しみも。1枚972円~(価格は全て税込み)。

その火付け役というべき店が、渋谷区富ヶ谷にある「Minimal(ミニマル)」です。仕入れているのは15カ国、25種類のカカオ豆。このうち5~8種類(時期により異なる)がタブレットになって店頭に並びます。どれも砂糖以外に何も加えず、シングルオリジンでチョコレートにするのが特徴です。

「工程は選別・焙煎・摩砕・調合・成形に分けられますが、焙煎を強くしたり、荒く挽いたりとカカオ豆ごとにすべて変えて、個々の持ち味を引き出すようにしています」と代表の山下貴嗣さんは言います。

そのチョコレートはカカオの粒を残しているため、カリカリと小気味いい歯応え。とはいえ、味はナッツのように香ばしいもの、柑橘に似たさわやかな酸味があるもの、スパイスの香りを持つものなど、「カカオによってこんなに違うのか」と驚くほどです。

こうした味の違いを食べ比べできるのが、「Minimal Flight2016」と名付けられたバレンタイン用のセット。産地の異なる8種類のカカオ豆からつくった小型のタブレットが、カラフルなケースに詰められています。

そのまま味わうだけでなく、飲み物とマリアージュさせるのが山下さんのお薦め。「ナッティなハイチ産はコーヒーやミルクティーと、フルーティーなベトナム産はワインに、スパイスやココナッツのニュアンスを感じるガーナ産は、意外にも熟成感のある日本酒と相性がいいですよ」

産地に思いを馳せながらゆったり味わえば、気分はぐるり一周世界旅行。日頃、忙しく働くあなたも、とっておきのチョコレートでカカオの旅に出かけてみませんか。

■Minimal
東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9
電話/03-6322-9998
営業時間/11:30~19:00 月曜定休(祝日の場合は翌日)
タブレットのビーントゥーバーチョコレートはその時々で種類を違えて5~8タイプ(時期により異なる)を販売。カカオニブやドリンク用のパウダーチョコレート、チョコレートドリンクなどもある。詳しくはホームページで。
上島寿子
ライター。1年半のOL生活を抜け出し週刊誌の記者となった後、フリーに。食や住まいなど生活に関わる分野で執筆。dancyu誌での執筆は1993年から。仕事と両立してきた子育ては卒業間近。