5000万のマンション物件を利回り7%で運用する場合
さて、一般に65平方メートル前後、3LDKの新築マンションを、それなりの立地の場所に買うとすると、数千万円はかかるだろう。ここでは仮に、価格を5000万円として考えてみる。以前は理想的な表面利回りは10%以上とされたが、最近では物件価格上昇もあり、首都圏では表面利回り7~8%の投資物件でも売れるという。そこで今回は、前ページの表面利回りの算出法をベースに、5000万円の物件で7%の利回りを上げるための、逆の計算をしてみる。
5000万円の物件で7%の利回りを上げるには、年間賃料は350万円ないといけない計算となり、月額にすると29万円ちょっと。毎月30万円ほどで貸さないと、7%では回らないという結果になる。当然だが、この額が現実的でないのは言うまでもない。いわゆる都心の高額賃貸物件サイトを見れば分かるが、5000万円の新築分譲マンションは家賃30万円の質にはないのである。
賃貸料をローン返済に充当する場合
では、利益は出ないまでもローン返済額、管理費、修繕積立金、固定資産税・都市計画税が賄える程度に貸すことはできないか。これも検証してみよう。
5000万円の新築マンションを1000万円の頭金で購入、住宅ローンが4000万円、30年返済、変動金利で金利1%という想定で試算すると、毎月の返済額は12万9000円。ここに管理費、修繕積立金を合計で2万円、税金を月平均8000円加えると15万7000円。これなら、立地によっては借りてもらえるかもしれないが、実際に貸すとなると仲介手数料や退去時の原状回復費用などもかかるし、空室時は当然だが、自分でローンを払わなくてはいけない。幾分かの持ち出しはあると想定するのが現実的で、返済が厳しくなった場合にその余裕があるかどうか、際どいところだろう。
これが中古マンションになり、価格自体が3000万円台などに落ちてくれば借入額も減り、払えなくなるリスクも、貸した時に持ち出しが出るリスクも少なくなる。一方で築年数によっては、賃料が安く設定されてしまうこともある。
貸すことがリスク回避になるかどうかを知るためには、購入後の毎月支払額を住宅ローン以外も含めて把握し、地域の賃料相場と付き合わせてみる必要がある。よく、新築マンションモデルルームでは「いくらで貸せます」といった資料を用意していることがあるが、本当にリスクを軽減したいのであれば自分で調べてみること。不動産ポータルサイトの相場情報をチェックしたり、地元の不動産会社を訪ねてみるなどすれば容易に分かる。
マンション購入希望者向けの情報サイト「住まいサーフィン」には「沿線・駅別マンション新築価格・賃料・利回り相場」なるコンテンツがあり、沿線、駅ごとに75平方メートルあたりの分譲価格、坪単価、賃貸価格がまとめられている。これも参考にしてほしい。ただし、沿線、駅によってはそもそも75平方メートルの賃貸にニーズがないこともある。必ず、現実と突き合わせる必要があるわけだ。