「まなざし」で勝負を決める

フランス人は、意味ありげに、あるいは意味なさげに、横目でチラッと視線を送るのが得意です。パリ5区に住むジュリーに〈魅惑する〉方法についてきくと、こんな答えが返ってきました。

目力をつかうのよ! 意味ありげなまなざし、これがわたしの秘密兵器。男を振り向かせるには、嫉妬させるのがいちばん。

そう、必要なのはまなざしだけ。あとは感じのいい言葉と微笑み、そしてちょっとしたクールさです。道をきくとか、小さなお願いごとをするのも誘惑的なふるまいになります。ペンを借りるとか、近くのレストランの名前や、おすすめのワインの銘柄をきいてもいいですね。すると、その意図には気づかないまま、男性は彼女に関心をもちます。このやり方だと男性は、自分が好かれているのか判断できなくて迷うのです。

フランス女性はつねに誘惑的なワザをくりだし、スキルを磨いているのです。

わたしたちアメリカ人からすれば、まじめな意図のないこのような誘惑は、相手を煙にまく、ずるいやり方のように思えるかもしれませんが、そんなことはありません。誰もがウィットに富んだ軽い会話が大好きなのですから。これだけで、誰もが少しだけセクシーな気分になることができます。それに、いろいろな人からちょっとずつモテれば、寂しさのあまりその場限りの関係に走って、あとで余計に寂しく、満たされない思いをすることだって避けられます。

※本連載は書籍『セクシーに生きる ――年を重ねるほどに、フランス女性が輝きを増す秘密』(ジェイミー・キャット・キャラン著、プレジデント社刊)からの抜粋です。

ジェイミー・キャット・キャラン
アメリカ生まれ。フランス人である母方の祖母のもとで育ったアメリカ人女性。書籍『セクシーに生きる』(プレジデント社)(http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=1067)は、リアルな告白エッセイとして高い評価を得、たちまちベストセラーとなり、10カ国以上で翻訳されている。ニューヨークタイムズ紙をはじめ多くの新聞雑誌に恋愛指南コラムを執筆するほか、ニューヨーク大学、エール大学、 UCLAでライティングの講座をもつなど、著作以外の活動も活発に行っている。マサチューセッツ在住、気象科学者の夫とともに暮らす。http://www.jamiecatcallan.com

訳=永峯涼