1.「スマイル」の量で分かる、自信と幸福の尺度

「自信」あるいはその反対の「不安」と、「幸福」とその反対の「不幸」のバランスは、スマイルのサイズと時間で如実に分かります。

話すために口の周りの筋肉が動くのは当然として、人は笑うと、総称「笑筋」という口の周りの筋肉と目の周りの筋肉が収縮してスマイルマークのような顔になります。この時、この筋肉を大いに使って、笑顔の量が増えていれば自信があることを示し、一方で笑顔が少なければ何かがうまくいっていない、あるいは自分自身に不安を抱えて不幸感がある、と測ることができます。私の実験データでは、日本人の2者間対話で会話がうまくいっている時、スマイルの量は1分間当たり34秒以上。対話時間の半分以上のスマイルが確認されています。

あなたの営業相手はいかがですか? イーブンに話せる相手なのか、それとも自信なさげであなたの主導権を必要としているタイプなのか。同じ提案をするにも話の入り口や、提案方法が違ってくるはずです。

2.「アイコンタクト」で分かる勇気、顕示欲求、養護欲求

アイコンタクトの3要素【(1)見つめる方向性(2)見つめる長さ(3)見つめる強さ】のバランスで分かるのは、「勇気」の有無、そして「顕示欲求」と「養護欲求」の強弱です。

■「勇気」の有無を判断して落ち着いて話せる環境づくりを

アイコンタクトが弱々しい時は、本人に勇気がなく、おっかなびっくりした目つきになります。またまばたきが通常より急増している時は、その人を見て「落ち着かないな」と感じるでしょう。まばたきの急増は、心理学的には欲求不満と強く関係し、「転位行動」と呼ばれます。何かしら環境や現状に不都合があり、他の動作でごまかそうとしている行動です。まばきの回数は1分間当たり、37回以下ならば日本人としては普通なので、やたらにまばきが増えていれば、嘘をついているか、隠し事をしているか、困惑しているか、のいずれかだと注意してください。3つ同時に発生している場合もあります。

貧乏ゆすりや爪をかむなども同様です。こんな動作が出ていたら、何かストレスを感じ、外界に対してあるいは目の前にいるあなたに対して、ストレスや不信感を持っているのだと気をつけましょう。両者の距離が近すぎないか、周囲の音が大きすぎないか、何が相手にストレスを与えているのか、まず冷静に考えてみましょう。

■「女性の見つめ」と「男性の見つめ」の違いを知ろう

営業相手が男性の場合、ビジネストークの最中にあなたをしっかり見つめてきたら、その人は「変化欲求」の強い(現状をよくしたいと思っている)人、あるいは「顕示欲求」の強い(自分のしていることを、あなたに見せつけたい)人であることが多いです。これはEPPS(Edwards Personal Preference schedule)という心理テストと組み合わせた、私の実験結果です。これが女性の場合、あなたをよく見つめていれば、守ってあげたいという「養護欲求」で見ている場合があります。

また男性と女性で“見つめる強さ”に共通しているのが、「顕示欲求」です。顕示欲が強く、自分を見てほしい、話を聞いてほしいと思っている人は、男女ともに相手のことをよく見つめています。営業相手からの強いアイコンタクトに気付いたら、自分の提案をしようと焦る前に、まず相手の話をよく聞いてあげましょう。