“赤の他人”と、子供抜きで家族になるための第一歩を
【河崎環さんの回答】
孤立無援、苦しい状況ですね。もしあなたが芯の部分で「子供は産まない」という選択に一筋も迷いがなく、むしろ自信すらあるのなら、あなたは姑の口撃など「おや、また飽きずに言ってるわー。趣味なのかな?」とかわせるはずなのです。でもあなたは真面目で責任感も強い。義父母の期待や予定調和に沿わない自分に葛藤があり、しかも「対・姑」戦線で夫の協力が取り付けられていない。あなたは一人で戦っているから、真正面からその身に銃弾を受け、「自分ばかりが責められている」と感じるのです。
「子供嫌い」とスカす割には実母からあなたへの口撃を防げず、あなたの葛藤にも思いを馳せられないボンクラ夫も、あなたの顔を見れば「子供は?」と繰り返す毒姑も、究極的にはあなたにとって赤の他人です。結婚とは、そんな赤の他人と家族になるという作業。あなたの中に自分自身へのごまかしや嘘があってはできません。しかもそれをあなたは、問答無用の接着剤、あるいは潤滑油となってくれる子供なしに進めようとしている。愛だ信頼だ尊敬だなんて上っ面のおきれいな話のレベルを超えて、夫婦間のつながりがドロドロを経て強固でなければ、どうして成し遂げられるでしょうか。
まずは「可愛いボクちゃん」の夫の胸ぐらを掴み(※比喩です)、あなたの葛藤、思いの丈をぶつけてガチンコで話し合うところから始めましょう。少しでも何かが変わるはずです。「赤の他人と家族になる」のです。
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。
文=本田健、河崎環 イラスト=伊野孝行