仕事、家庭生活、お金、親子関係……、さまざまなお悩みに、新刊『決めた未来しか実現しない』が話題の本田健さんと、PRESIDENT WOMAN Onlineの連載「WOMAN千夜一夜物語」でおなじみのコラムニスト河崎環さんが回答する人生相談、連載第5回は「義父母からの“孫産め”プレッシャー」に関するご相談です。

【今回のご相談】
年が明けたら夫の実家に挨拶に行かねばならないと思うと気が重いです。結婚して10年弱経つのに子供ができないことを、義父母は非常に不満に思っており、帰省の度に義母から「孫はまだか」「なぜできないのか」などとしつこく言われるためです。もともと夫は子供嫌いで、私もそれほど欲しいと思っていないため、夫婦ともに子供をつくるつもりがありません。それなのに、なぜ私ばかりが責められなければならないのでしょうか。
「孫の顔が見たい」という気持ちは分からないでもないけれども、夫婦それぞれの事情や考え方があるものですよね。(イラスト=伊野孝行)

パートナーに気持ちを伝えていますか?

【本田健さんの回答】

大変ですね。これは、あなたと義父母との関係ではなく、あなたがパートナーとのコミュニケーションをどう取るのかという問題だと思います。

あなたのパートナーが、ご両親に「僕たちはしばらく子供のことを考えないから、嫁には、子供のことを言わないで欲しい」と言ってくれれば簡単に解決することです。それを彼が言っていないとすれば、あなたが悩んでいるということをパートナーに伝えていないからではないでしょうか。

もし、あなたが口に出さなくても、パートナーがカンのいいタイプだったとしたら、すでに両親に言ってくれているはずです。毎年、子供のことを聞かれてしまうのは、パートナーがこの話題に関して、両親にしっかり説明していないからです。

また、あなたがパートナーと子供のことについて話したり、その実家に帰ることに対して感じている違和感を話したりしていないことも、この問題を生み出しています。あなたが、自分の気持ちを自由にパートナーと話せていたら、こういうことも起きないでしょう。

パートナーに、「実家に帰って、毎回説明するのはイヤなのであなたから言って欲しい」とお願いしてみることです。これをきっかけに、今後どうしたいのか話すのも、とってもいいと思います。

男性回答者プロフィール:本田健(ほんだ・けん)
作家。神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は2000万ダウンロードを記録。
代表作『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は100冊以上、累計発行部数は680万部を突破。
【本田 健 公式サイト】http://www.aiueoffice.com/

“赤の他人”と、子供抜きで家族になるための第一歩を

【河崎環さんの回答】

孤立無援、苦しい状況ですね。もしあなたが芯の部分で「子供は産まない」という選択に一筋も迷いがなく、むしろ自信すらあるのなら、あなたは姑の口撃など「おや、また飽きずに言ってるわー。趣味なのかな?」とかわせるはずなのです。でもあなたは真面目で責任感も強い。義父母の期待や予定調和に沿わない自分に葛藤があり、しかも「対・姑」戦線で夫の協力が取り付けられていない。あなたは一人で戦っているから、真正面からその身に銃弾を受け、「自分ばかりが責められている」と感じるのです。

「子供嫌い」とスカす割には実母からあなたへの口撃を防げず、あなたの葛藤にも思いを馳せられないボンクラ夫も、あなたの顔を見れば「子供は?」と繰り返す毒姑も、究極的にはあなたにとって赤の他人です。結婚とは、そんな赤の他人と家族になるという作業。あなたの中に自分自身へのごまかしや嘘があってはできません。しかもそれをあなたは、問答無用の接着剤、あるいは潤滑油となってくれる子供なしに進めようとしている。愛だ信頼だ尊敬だなんて上っ面のおきれいな話のレベルを超えて、夫婦間のつながりがドロドロを経て強固でなければ、どうして成し遂げられるでしょうか。

まずは「可愛いボクちゃん」の夫の胸ぐらを掴み(※比喩です)、あなたの葛藤、思いの丈をぶつけてガチンコで話し合うところから始めましょう。少しでも何かが変わるはずです。「赤の他人と家族になる」のです。

女性回答者プロフィール:河崎環(かわさき・たまき)
フリーライター/コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。