A 4. 毎月1回以上、一定の期間内に支払わなくてはならない
【解説】
【岩沙】「職場のあるある! リーガル相談」。アディーレ法律事務所弁護士の岩沙好幸です。 急に涼しくなりましたが、皆さん今年の夏は満喫されましたか?
【なの(以下、なの)】私は沖縄に行ってきました! これで夏休みも終わっちゃったし、今月末には旅行の引き落としがあるし、しばらく金欠です……。
【岩沙】確かに、夏はいろいろと出費がかさむので、給与日が待ち遠しい、という方も少なくないのではないでしょうか。今回はそんな給与の支払いに関する相談から問題です!
【なの】おっ、先生、話の持って行き方が上手です!
【岩沙】恐れ入ります(笑)。 なの代さん、今回の給与支払いに関する質問は答えられました?
【なの】いやぁ、今回も難しかったです。全部正解っぽいですもん。
【岩沙】そうですよね。今回は一見、全部合っているように見えるような4択でした。給与支払いについて、法律では5原則というものがあるのですが、今回はそこをおさえておきましょう。
【なの】給与支払いの5原則?
【岩沙】はい、実は給与の支払いについては労働基準法にこんな5原則があります。
(2)直接労働者に払わなければいけない(直接払いの原則)
(3)その全額を労働者に支払わなければならない(全額払いの原則)
(4)毎月1回以上支払わなければならない(毎月1回以上の原則)
(5)毎月一定期日に支払わなければならない(一定期日払いの原則)
【なの】んー、やっぱり今回の問題の4択に全部当てはまっているような……。
【岩沙】答えは4の「毎月1回以上、一定の期間内に支払わなくてはならない」という内容のうち、1回以上という部分は問題ないのですが「一定期間内」というのが間違いなんです!
【なの】一定期間内……。あ! なるほど、これだと例えば「毎月25~30日の間に支払いますよ」という給与日設定でも良いってことになっちゃいますもんね。
【岩沙】そうなんです! 給与日は必ず「毎月25日払い」など、明確に期日が決められていないといけません。
【なの】じゃあ「月末」という表現も曖昧なのでダメなんですかね?
【岩沙】大体「月末」となっていると「末日」とされることが多いですが、加えて「毎月第4金曜日」などの表現も、その月によって日にちが変わってしまうのでダメなんですよ。
【なの】とにかくハッキリ日付を決めろということですね。今回の質問のように、1週間前に突然給料日が変更になるっていうのもダメなんですよね?
【岩沙】そうです。労働者の不利益となる急な給与日の変更は、一定期日払いの原則に違反します。現に今回の質問者さんも困っていますからね。