壱番屋創業者秘書をはじめ、30年以上に渡りその道を究め、日本秘書協会の「ベストセクレタリー」にも選ばれた“プロ秘書”中村由美さんから、すべてのビジネスパーソンに通じる“秘書の素養”を教わります。

相手に期待を抱かせない

多忙な上司であれば、1日に何件もの面談の申し入れがあるでしょう。しかし、時間は限られています。そのなかでうまくスケジュールを調整していくのがプロの秘書です。

アポイント調整は秘書の大切な業務。そのプロセスで用いる言い方、確認の仕方は、日常的にスケジュール調整を行うすべてのビジネスパーソンが生かせるものばかり。

たとえば、面談の申し入れに対して、「日程的に厳しい」と感じた場合。上司に確認する前の電話の段階で、「日程的に厳しいかもしれませんが、一度調整してみます。いつまでにお返事すればよろしいでしょうか」とお聞きします。ポイントは、断ることを前提に、あまり相手に期待を抱かせる答え方をしないことです。上司の優先順位によっては、「すでに入っているほかの予定を変更してでも会いたい」というケースもあるため、余程のことがない限り、その場ではお断りしません。しかし、あくまで「難しいと思いますよ」というニュアンスはお伝えします。もし、上司がどうしても会いたい相手だと分かっているなら、「前向きに検討させていただきたいのですが、今月でないと難しいお話でしょうか」「その日程だと難しいかもしれないのですが、来週であれば少しはスケジュールに余裕があります」など、相手の状況を探り、代案を出す場合もあります。