ロコモとは、ロコモティブシンドロームの略で、Locomotiveは“運動の”という意味。「運動器症候群」とも言われ、その名の通り、骨や筋肉、関節などの運動器が衰え、立つこと、歩くことといった暮らしの中の自立度が低下することで、寝たきりや要介護になる危険度が増していきます。
 歩けない? 立てない? 寝たきり? 要介護? と言われてもピンと来ないかもしれませんが、その数、予備群を含め推定4700万人! 実に国民の3人に1人にのぼります。 ロコモはメタボ(メタボリックシンドローム)に続く国民病として予防の強化が急がれています。

ロコモが縮める健康寿命

日本は世界第1位の超高齢化社会で、平均寿命は男性79.55歳、女性86.30歳。この60年間で約30歳も伸びました。

この平均寿命に対して、2000年にWHO(世界保健機関)が提唱して以来、関心が高まっている“健康寿命”という考え方をご存知ですか? 健康寿命とは介護を必要とせず、健康で日常生活を支障なく送ることができる期間のこと。平均寿命から健康寿命を引くと、男性は約9年、女性では約12年の開きがあります。

実はその開きが寝たきりや認知症などの理由で、健康とは言えない日々を過ごす期間。そして健康寿命を縮める原因のトップが、運動器の障害(=ロコモ)なのです。加齢による衰えは誰も避けられませんが、何もしなければその差は縮められません。

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支援や介護が必要となった主な原因(出典:厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査」)

ロコモ対策をまだ先の話と先送りして「時間もできたし、さぁ運動しよう」と思い立っても、筋肉や骨が弱ってしまった後では体がついてきません。ロコモは確かに高齢者に多いかもしれませんが、少しでも早い段階からロコモを意識して対策をすることで、運動機能をキープし、自立した生活が営める健康寿命を延ばすことが可能になるといえます。

ロコモの始まりは、ちょっと不便、ちょっと動かしづらい、つまずきやすくなった、など誰にでも起こりそうな違和感から。たちまち大きな支障をきたさないことから見逃しがちですが、確実に体の自由を奪っていきます。