ドイツでは、6時以降の仕事を禁止へ

最近、「長時間労働」に関する興味深いニュースを見ました。

ドイツの連邦労働大臣が、長時間の労働が人の心に及ぼす影響についての研究を根拠に、2016年までに、午後6時以降に仕事をすることを禁止する方向で法改正を進めているという記事です。

このニュースを読み、私は、さすがは「働き方先進国」ドイツだと感じ入ってしまいました。

気に入ったのが、「午後6時以降の仕事を禁止する理由」が、夜遅くの労働は鬱病など人の心に悪影響を及ぼすとしている点です。

ここ日本で「ノー残業」「長時間労働反対論」を語る場合、だいたいは子育て中のワーキングマザーが仕事と育児の両立が出来るように配慮すべき、というスタンスです。

しかし、ドイツではすでにその域は超え、あらゆる労働者にとって、長時間労働は敵だとの議論が深まっているのです。

一人よりは、徒党を組んで

では、本題に移りましょう。

どのように、「5時以降の会議」を阻止すべきか?

真っ向からがっぷり四つに組んで「反対、反対」と言っても、「アイツは権利ばかり主張していて仕事が出来ない」など、よからぬ印象しか植え付けません。

そこで、やや間接的ではありますが、こんなアイデアを提案したいと思います。

それは先のドイツの例にならい、「長時間労働が負担なのは女性社員だけではない、全社員だ」という論理的な理屈を立てることです。

仮にその理屈が「子育てと両立ができない」では、女性社員だけの話としてスルーされてしまうでしょう(本来、子育ては男女共同で行うのが理想で、それはそれで悲しい話ですが……)。

しかし、先のドイツのニュースのように「長時間労働は身を削っている、その影響が鬱病休職者の増加に繋がる」という理屈を、訥々と冷静に解説する。

たとえば、鬱病と長時間労働の相関関係(実際、精神科医によると、長時間労働による鬱病発症例は多く、求職者の復職にあたっては、医師が診断書を書いて残業不可にする場合が多い)、鬱病による休職者の増加率などのデータをもって説得することです。

このような“活動”は一人でやるより、仲間と徒党を組んだほうが効果的なのは自明ですから、出来れば、「メンタルヘルス向上委員会」的なちょっとした組織やグループを組成すると尚のことインパクトがあるでしょう。

佐藤留美
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。