認定制度も参考に

私は、『助産師と産む-病院でも、助産院でも、自宅でも』(岩波ブックレット)を書いていた頃、日本助産師会では各地で支部長さんたちが飛び回り、安全性の向上にエネルギーを注いでいたのを見ていただけに、今回のニュースは残念だ。

自然なお産や温かいコミュニケーションを求めて助産院で出産する人は、助産師との相性はもちろん大切だが、それだけではなく、医療連携についても質問しておきたい。

助産院は、嘱託医の氏名、施設名などを院内に掲示する義務がある。額に入れ目立つところにかけられていることが多いので、それは必ず確認しておこう。

また、私も委員をつとめている日本助産評価機構は、組織として高い基準を満たした助産院の認定を行う制度を持っている。基準の多くが安全管理や医療との連携などに係る項目である。まだ認定施設が少ないが、早く普及してほしい。認定施設には院内に掲示できる認定証を発行することも検討している。

助産院によっては、異常が起きなくても、もしもの時のために嘱託医、嘱託医療機関で妊婦健診を受けておくルールができていることもある。緊急時にいきなり行くのではなく、こうして関係を作っておくことも大切だ。

産み方に「安全か自然か」という二者択一の発想はおかしい。どちらもバランスよく考えて産み方を決めたい。

河合 蘭(かわい・らん)
出産、不妊治療、新生児医療の現場を取材してきた出産専門のジャーナリスト。自身は2児を20代出産したのち末子を37歳で高齢出産。国立大学法人東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院、日本赤十字社助産師学校非常勤講師。著書に『卵子老化の真実』(文春新書)、『安全なお産、安心なお産-「つながり」で築く、壊れない医療』、『助産師と産む-病院でも、助産院でも、自宅でも』 (共に岩波書店)、『未妊-「産む」と決められない』(NHK出版生活人新書)など。 http://www.kawairan.com