お嬢さん、なぜここに?

1997年に大和ハウスへ入社した私は、これまで一戸建て住宅の工事課に3年、設計の部署に8年、そして6年前に現在の賃貸住宅の現場と複数の職場を渡り歩いてきました。いろんな思い出が胸に残っているのは、22歳で建築現場に配属された最初の3年間です。

大学時代に構造設計の研究室にいたので、入社のときは設計の部署を希望していたんです。でも、配属されたのは仙台支社の工事課。しかも仙台では女性初の現場監督だったんですよ。

「女性の現場監督」はここ最近になって少しずつ増えてきたとはいえ、今も昔も工事の現場というのが職人さんたちの徹底した男社会であることには変わりありません。特に当時は支店の上司も私にどう接したらいいのか戸惑っていたくらいだったので、それこそ現場では「このお嬢さん、どうしてここにいるの?」という感じでした。女性が現場に入ること自体がほとんどなかったので、監督として見てもらえないどころか、全く相手にしてもらえないんです。

現場監督である私からしてみても、周りにいるのは自分の父親みたいな世代の人たちばかり。口をきいてもくれない人もいれば、可愛がってくれる人がいても子供扱いで、そもそもの前提として社会人として扱ってもらえない。もう最初は途方に暮れるしかなかったですね。