35歳以上なら、すぐにでも

もちろん受診はこれより早くてもよく、医師によっては「女性が35歳以上ならば、妊娠したいと思ったらすぐに来て検査だけでも受けてほしい」と言っている。

「検査で何かがわかるのがこわい」と言う人が多いが、授からない月日が長引くとわからないこともつらくなってくるはず。産婦人科を受診したある女性は「なぜ妊娠しないのか」とあれこれ考え続けることが耐えがたくなったので出かけたところ、排卵日の勘違いをしていたことがわかった。「何か理由が見つかったらしめたものだと思って受診した」という人もいる。原因がわかれば、治療できるかもしれないからだ。

長期間、自然妊娠を待って妊娠する人もいるのは事実だが、その場合はひとりで長く悩むことになったり、「本当は2~3人欲しかったけれど結局1人になった」という風に子どもの数をあきらめるケースもある。

「できれば自然に授かりたい。不妊治療は避けたい」という気持ちは、誰でも持つ自然な気持ちだ。でも、信頼できる施設での不妊検査、不妊治療にはそれなりの意味がある。必要に応じて医療を使いつつ、「妊活」ですすめられる心身のケアや子宝の湯への2人旅も楽しむ。そんな妊活をしてほしいと思う。

河合 蘭(かわい・らん)
出産、不妊治療、新生児医療の現場を取材してきた出産専門のジャーナリスト。自身は2児を20代出産したのち末子を37歳で高齢出産。国立大学法人東京医科歯科大学、聖路加看護大学大学院、日本赤十字社助産師学校非常勤講師。著書に『卵子老化の真実』(文春新書)、『安全なお産、安心なお産-「つながり」で築く、壊れない医療』、『助産師と産む-病院でも、助産院でも、自宅でも』 (共に岩波書店)、『未妊-「産む」と決められない』(NHK出版生活人新書)など。 http://www.kawairan.com