※本稿は、中山潤一『転ばない・ボケないスゴイ片足立ち』(アチーブメント出版)の一部を再編集したものです。
膝の痛みの「真犯人」とは
フレイルやロコモの入り口で、多くの方が直面するのが「膝の痛み」です。階段の上り下りで膝がピリッと痛む、あるいは歩き出すと違和感がある。こうした症状の裏側では、ある重要な筋肉の「サボり」が起きています。
それが、太ももの前側に位置する大きな筋肉、「大腿四頭筋」です。
大腿四頭筋は、人間が直立して歩くために最も重要な筋肉の1つです。膝関節を支え、歩行時の衝撃を吸収する「クッション」の役割を果たしています。この筋肉がしっかりしていれば、膝の軟骨にかかる負担は最小限で済みます[1]。
しかし、加齢や運動不足でこの筋肉が細くなるとどうなるでしょうか。クッションを失った膝関節には、歩くたびに全体重に近い衝撃がダイレクトに伝わるようになります。これが軟骨のすり減りを加速させ、炎症を引き起こす――つまり、大腿四頭筋の衰えこそが、膝の痛みの「真犯人」であることが多いのです。
「片足立ち」こそ最強の処方箋
ここでさらに厄介なのが、「痛みがあるから動かさない→動かさないから筋肉がさらに落ちる→負担が増えてさらに痛む」という、膝関節における独自の負のスパイラルです。
整形外科の現場では、この痛みの悪循環を断ち切るために「ハイドロリリース(筋膜リリース)」などの最新治療を用いることもありますが、最も根本的で、かつご自身でできる最強の治療は、やはり「自分の筋肉を再建すること」です。
「筋トレなんて、この年で始めても遅いのでは?」と不安を抱く必要はありません。筋肉は何歳からでも鍛えることができます。大切なのは、ハードな運動をすることではなく、眠ってしまった筋肉に「これから動くよ」と正しい刺激を伝え、脳との連携を取り戻すことです。
そのための最も効率的で、かつ医学的根拠に基づいた「最強の処方箋」が、本稿のテーマである「片足立ち」なのです。
[1] Amin S, et al. Quadriceps strength and the risk of cartilage loss and symptom progression in knee osteoarthritis. Arthritis Rheum. 2009;60(1):189-198.