本番で大事な「具体的な行動指示」

最後に、中学受験生向けに入試本番の集中力についても触れておきたい。小学校の授業が45分に設定されているように、中学入試も1教科あたり40〜50分で設定されていることが多い。これは、子供の集中力が続く限界の時間とも言える。そこで集中力を切らさずに、目の前の問題をスピーディーに解いていかなければならないのだから、なかなか大変だ。

「集中して解くんだぞ」と言ったところで、気持ちが維持できるものでもない。まして、普段と違う状況の中、過度な緊張で動揺してしまう子もいる。子供は緊張状態に陥ると、普段と違う行動を起こす。本来であれば簡単に解ける問題を、数字の読み違いで失点したり、文章をよく読まず、思い込みで解いてしまったりする。そうならないためには、言葉でなんとか落ち着かせようとするよりも、具体的な行動を示してあげたほうが効果は高い。

例えば、気持ちが焦ると字が雑になってしまう子には、「算数のテストは、1問目の計算が大事。誰が読んでも読める字できちんと書くんだぞ」と伝えると、それだけでアタフタの抑止力になるし、「理科の問題は最初のリード文にヒントが隠されている」と伝えると、丁寧に読むようになる。

そうやって、「はじめの一歩」で具体的な行動指示をしてあげると、その後も気をつけるようになる。普段の勉強と違って、入試で集中力が途切れてしまうということはあまりない。一番怖いのは、パニック状態になってしまうことだ。

クエスチョンマークが描かれた木製のブロックと、中央に光る電球が描かれたロケットのアイコン
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「前のテストの話」をするのは最悪

小学生の集中力は、どんなに成熟した子でもせいぜい1時間程度。入試当日は4教科のテストが行われるため、子供たちには大きな負担となる。テストとテストの間の休憩時間はしっかり休むことだ。トイレに行く、水分補給をする。そして可能であればチョコレートなどの甘いものを一口入れるといい。頭の栄養に糖分が不可欠と言われているように、血糖値が下がると集中力が低下するからだ。

一番良くないのは、前のテストの話を友達とすること。「大問1の答え、アだったよな」「ああ、あの問題、簡単だった」なんて話が耳に入って、自分の答えが違っていたときには、その動揺が次のテストに間違いなく影響する。

入試本番の大事なときに、「集中力を高めるおまじないのようなものがあったらいいのに」とよく親たちから言われるが、集中力を高めるより気持ちを落ち着かせる方が良い。「はじめの一歩」をていねいに解けるように、具体的な行動をアドバイスしてあげると、気持ちが落ち着く。気持ちが落ち着いていれば、うっかりミスは防げる。あとはこれまでの頑張りを発揮するだけだ。目の前にあるテストが大事であることは、小学生の子供でもみんな分かっている。最後は子供の力を信じるしかない。