日本を代表する国立の超名門小学校である筑波大学附属小学校(通称「筑附小」、東京・文京区)。その特徴は、全国の公立小学校に影響を与える存在として、「最先端の教育」が提供されていることだ。筑附小で算数の授業を担当する大野桂先生は「小学生に“本物の算数力”をつけさせるために、正解探しよりも大事なことがある」という――。
正解探しより、「解き方を考える」のが大事

「道筋は一つじゃない」難問に挑戦したくなる親の声かけ

足し算、引き算、掛け算、割り算、割合、速さ、面積、体積、小数、分数……。算数で学ぶこれらのことは、生活のさまざまな場面で使われています。しかし、現在ではそのかなりの部分を電卓やパソコンが担ってくれています。だから「将来必要になるから頑張りなさい」と言っても、子どもの心にはなかなか響きません。そこで大切になるのが、「算数は楽しい」「算数の問題を解くことって面白い」と感じられることです。

では、算数を楽しむって、どういうことでしょう。どんな難問でも、答えを導き出せること? スピーディーにすらすらと解いていくこと? もちろん解いて正解できれば誇らしいですから、それが「楽しい」に変わり、算数を好きになる子もいます。しかし、実は、「わからずに困る」ことも、算数の楽しさの一部なのです。

筑波大附属小

登山と似たようなものだと説明すれば、イメージが湧きやすいかもしれません。苦労して一歩ずつ進み、やっと山頂に立つことができたからこそ、「登った」という達成感を得ることができて、また次の山にも登ろうという意欲につながるもの。うんうんと悩む中で「あ、この解き方だったかも」「ここに線を引いたら解けるかも」と自分でひらめき、解けた瞬間があるから、算数も「もっと難しいものを!」と思えるようになるものなのです。親も「わからないね〜!」「どう解けばいいのかな」という時間を共に楽しめば、子どもに「これは楽しい時間なんだ!」と伝わりやすいかもしれません。

筑波大附属小

また、いわゆる正解(答え)が出ても、それで終わりではないのが算数の楽しいところ。「この解き方がいちばんいいのかな」「もっと簡単に答えが導き出せる方法はないかな」などと、さらに考えてみる。友達の考えと比べてもいいですね。同じ答えにたどり着く道筋が一つではないと知ることができるのも、算数を学ぶ大きな魅力です。

小数の掛け算や割り算、単位量あたりの大きさ、速さなどは、小学校の算数の中でもつまずきやすいと言われている単元です。でも、これらは別々の単元に見えて、実はどれも「1あたりの量」を基準に考えて計算したり、二つの量の関係を捉えたりする(片方の量が変わると、もう一つの数値にどう変化が出るか)という共通の考えでつながっています。この考え方が身につくと、それぞれを別に覚えるのではなく、算数の土台となるルールとして解き方がわかるようになるのです。