いびきや日中の眠気がみるみるうちに改善

この研究に携わったアレックス・スアレスさんも20年以上前、そんな症状に悩む患者の1人だった。

スアレスさんは当時、通常の治療がとにかく嫌で悩んでいた。寝る時にいちいち装置をつけるのは面倒くさいし、奥様も装置が気になって眠れなくなった。

そこで、医師と相談して別の治療法で改善できないか模索していたところ、たまたま知り合いがディジュリドゥを吹いているのを見た。寝ている時に垂れてしまう喉のどまわりの筋肉を鍛えるのに使えそうだと思ったと、ディジュリドゥショップのインタビューで語っている。

ディジュリドゥにどっぷりハマったスアレスさんは毎日練習したところ、いびきや日中の眠気がみるみるうちに改善されたとか。そのことを聞きつけたチューリッヒ大学のミロ・プハン教授が、実際にスアレスさんと実験を計画して、効果を調べてみることにした。

アボリジニの男性がディジュリドゥを演奏している
写真=iStock.com/AscentXmedia
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医学賞ではなく平和賞を受賞した理由

研究の対象は、中度の睡眠時無呼吸症候群を患うボランティア25人。ほぼ全員、いびきが悩みで研究に協力した。

プハン教授らは、ボランティアたちに4カ月間、週5回ディジュリドゥを吹いてもらった。ボランティアたちは初心者向けのプラスチック製ディジュリドゥを支給され、レッスンを4回受け、1日20分間吹いたのだ。

このボランティアたちは特別真面目だったのか、週5日でいいと言われていたのに平均6日も練習に励んだのである。こうして4カ月間ディジュリドゥを吹き続けた効果は、結果に明確に表れた。

ボランティアたちの睡眠時無呼吸症候群の重症度を示す数値は半減し、日中の眠気が改善された上、彼らの配偶者やパートナーたちも、客観的に見ていびきが改善したと評価した。

この研究がイグノーベル賞の医学賞ではなく平和賞を受賞した理由は、パートナーのひどいいびきに睡眠を妨害されイラついていた人がよく眠れるようになり、平穏な家庭生活が訪れたからではないだろうか。