「国民の中に入っていく皇室」の実践
天皇陛下も皇太子時代の平成19年(2007年)に、前回の式年遷宮に向けた川曳をご視察になり、同じくはっぴ姿で綱を曳かれている。これは、天皇陛下がまだ浩宮と呼ばれていた26歳のころに、「(国民が望むのは)国民の中に入っていく皇室だと思います」(昭和61年[1986年]7月23日)とおっしゃっていたことを、そのとおり実践された一例だろう。敬宮殿下のこのたびのなさりようは、それをしっかりと受け継がれたものだ。
ご帰京にあたり、宇治山田駅に着いてお車から降りられる前に、運転手に丁寧にお礼を述べておられた。そのことは、帽子をかぶった運転手が恐縮しつつ、白手袋で挙手の礼を繰り返していた様子から察することができる。これも陛下ゆずりの謙虚なお人柄ゆえだろう。
両陛下と同じ場所で奉迎者に応えた
ちなみに、初日に敬宮殿下が三重県に向かわれる途中、名古屋駅で近鉄線に乗り換えられる時も、多く奉迎者がいた。ここでも「愛子さま〜」「敬宮さま〜」という歓声があがっていた。
その人たちに対して、敬宮殿下は改札を出て少し横にずれた場所で、乗り換えの途中なのにわざわざ立ち止まって、軽く頭を下げられ、笑顔でお手を振ってお応えになられた。随行者の不自然な動きから、それが殿下のとっさのご判断による、予定外の対応だったことが想像できる。
じつは昨年11月、天皇皇后両陛下が「全国豊かな海づくり大会」へのご臨席のために三重県に向かわれた時も、乗り換えに際してまさに同じ場所に立ち止まって、奉迎者に応えておられた。そのことは、当時の映像によって確認できる。
これは偶然だろうか。もし偶然なら、両陛下の「国民に寄り添う」丁寧なお心の配りようを、敬宮殿下が驚異的なほど忠実に受け継いでおられる事実を示す。それともご出発前に、両陛下から昨年の経緯を、奉迎者の位置まで含めて詳しくお聴きになっていたのだろうか。
どちらにしても尋常ではない。このような一致は直系にしかあり得ないし、たとえ親子でも普通の家庭なら、ここまで徹底した受け継ぎは想像できない。
世襲は親から子へ
憲法は「皇位は世襲」と定める(第2条)。世襲は親から子への継承を基本とする。
天皇皇后両陛下にお子さまがいらっしゃらないのならばともかく、今回の三重県へのお出ましでのなさりようからも明らかなように、令和の皇室で誰よりも両陛下のお気持ちを真っ直ぐに受け継ぐ敬宮殿下が、現にいらっしゃる。そうであれば、次代の天皇として敬宮殿下が即位されるのは当たり前という感覚を、多くの国民が共有している。