「日常と結びつけて学ぶ」国産学習マンガ『算数トリビア~ン』

次に紹介するのは、『マンガでなるほど 算数トリビア~ン』(Gakken)。この作品は『算数ドカン!』と共通点がありつつも、韓国発ではないなど、いくつかの点で対照的な作りになっている。

Gakken編集、とし山じゅん著・イラスト『マンガでなるほど 算数トリビア~ン』(Gakken)
Gakken編集、とし山じゅん著・イラスト『マンガでなるほど 算数トリビア~ン』(Gakken)

こちらの作品は児童書ではなく、ふだんは学習参考書を手がけている編集部発の企画だ。

企画発案者のGakkenコンテンツ開発本部 小中教材編集課、算数/数学・理科チームの矢野江里子さんはこう言う。

「『算数が嫌い』という先入観を持つ前に、まずは学校の授業では教えてくれないような楽しい雑学を通して、算数の楽しさに触れ、興味を持ってほしい、というのがコンセプトでした。想定した対象年齢は主には小3~4ですが、それより上の学年の内容も入れつつも、算数用語をなるべく避けて『お勉強』感をなくし、爆笑しながら読めるマンガをめざしました。結果としては小2くらいから読んでいただいています」

『算数トリビア~ン』の企画背景には、大きく2つのことが絡んでいる。

ひとつめは、学習指導要領でも算数・数学を日常生活などと関連づけて学ぶことの重要性が示されているにもかかわらず、学校で定期的に実施されている「全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)」の結果を見ると、算数・数学と日常生活との関連を扱うような問題で課題が見られた点だ。

ここに矢野さんは注目した。

日常生活の中には後述するような算数や数学に関係する現象や形状が多い。そこをマンガで拾っていくことで「本を読んだあとに、日常の景色を見て『あ、ここにも算数って役に立っているのか』『本で見たのと同じだ』と自分で発見できれば、その気づきがこれからの学びにつながるのかな、と」(矢野さん)

マンホールはなぜ円い形なのか?

例えば、マンホールだ。円い形になっているのは、なぜかご存じだろうか。実は、フタの落下を防ぐため(円の直径はどこを測っても同じ長さで、どんな向きでも幅が変わらない)なのだが、本作のマンガではそれをさくっと説明するシーンがある。おまけ情報として、マンホールが仮に四角形だと、1つの辺の長さが四角形の対角線より短いケースがあり、そうなると穴の中に落ちてしまう、というプラスαの説明もある。

もうひとつの流れは、エンタメ、キャラクター学参の需要の高まりだ。

各社から刊行されているが、Gakkenでも『ゆるゆる図鑑 読解力ドリル』や『最強王図鑑ドリル』など、人気のキャラクターやIPを使った、楽しく学べる参考書やドリルが好評だ。同チーム長である田中丸由季さんはこう語る。

「軽い見た目の参考書で学ぶことに抵抗がなく、子どもが夢中になり、自ら理解を深めてくれるものを求めている保護者さんが増えているのではないでしょうか」

国産マンガ、それもGakkenの学参編集部発だけあって、算数雑学を扱うにしても、日本の各学年の学習指導要領や教科書を踏まえ、子どもにわかりやすいよう表現を配慮している点に特徴がある。

「各章のあとにはコラム『ちょこっとプラス』やクイズを挟んで、読者に『考えてみよう』『やってみよう』と促しています。ケーキの切り分け方など日常的な題材をもとに、自分で電卓を使ったり手を動かしたりすることで、より具体的に算数を実感してもらえたら」(矢野氏)