「昔の自分」を基準にしてはいけない
この2人のイラストのうち、どちらが若くイキイキとして見えるでしょうか。
当然、Aですよね。Bのような姿勢で、小さな歩幅のちょこちょこ歩きをしていると、「老けて見える」「疲れていそう」という印象になります。
ところが、当の本人は気づいていなかったり、認めようとしなかったりします。そのため、周囲から老いを指摘されても、「私はまだ大丈夫」「年寄り扱いしないでほしい」などと言ってしまうわけです。電車などで若者から席を譲られて「自分は老人じゃない!」などと怒りの感情が湧いてしまう人は、周りから見えている姿と自己認識とのズレを自覚したほうがよいかもしれません。
なぜ、人はなかなか自分の老いを認められないのでしょうか。その大きな理由のひとつが、過去の栄光です。
「学生時代は運動部で、ずっと体を動かしてきた」
「若い頃は仕事で走り回っていて、体力には自信があった」
「趣味のスポーツでは、仲間内で一番だった」
私のところに来られる患者さんの中にも、このようにおっしゃる方がたくさんいます。こうした若い頃、元気に動けていた頃の記憶が心の中に強く残っていると、無意識のうちに“今の自分”ではなく、“昔の自分”を基準に体を評価してしまいます。
「そんな自分が、老いているはずがない」。そう思いたくなるのは、自然なことかもしれません。
「以前できたことができない」が分かれ目
では、どうやって自分の老いに気がつけばいいのか。一番わかりやすいのは、「以前できていたことが、できなくなった」ときです。
○階段をスイスイ上れなくなった
○少し歩いただけで息切れがする
○腕が思うように上がらない
これらは、体が出しているはっきりとした老化のサインです。
また、周囲からの「背中が曲がっているよ」などという指摘を素直に受け止め、日頃から全身鏡などで自分の立ち姿や歩き姿をチェックしておくことでも、自分の状態を知ることは可能でしょう。
人生100年時代と言われる今、「老後の時間」はどんどん長くなっています。その20年、30年を元気に自分らしく過ごすためには、まず老いに気づいて今の自分を認め、衰えた体と上手に付き合っていく必要があるのです。
(参考文献)
・安保雅博、中山恭秀『寝たきり老後がイヤなら 毎日とにかく歩きなさい!』(すばる舎)
・安保雅博、中山恭秀『何歳からでも 丸まった背中が2ヵ月で伸びる!』(すばる舎)
・安保雅博、中山恭秀『家でも外でも転ばない体を2ヵ月でつくる!』(すばる舎)
・スポーツ庁「令和6年度体力・運動能力調査」
1990年東京慈恵会医科大学卒業。1998年?2000年までスウェーデンのカロリンスカ研究所に留学。2007年よりリハビリテーション医学講座主任教授。2016年、同病院副院長に就任。現在、東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科診療部長、リハビリテーション医学講座主任教授。延べ15万人以上の患者を診療してきたリハビリテーション治療のパイオニア。著書に中山恭秀氏との共著『何歳からでも 丸まった背中が2ヵ月で伸びる!』『家でも外でも転ばない体を2ヵ月でつくる!』『首・肩・背骨の「可動域」を5度広げるだけで体がラクに健康になる!』(すばる舎)など多数。
