他人との距離が生む「おひとり様消費」
図表4は「人づき合いをあまり積極的に広げたいと思わない」という項目のグラフです。
男女ともに近年になるほど、人づき合いへの意識が希薄化しています。
この背景には、2004年頃から急速に浸透して定着した「自己責任」という価値観やSNSによるオンラインでの交流の影響が考えられます。
これ以前は、個人ではなく社会全体の問題と捉えたり、リアルなコミュニティ以外は人づき合いの手段が限られたりしていました。
また、「14年の消費税8%への引き上げ」と「コロナ禍や物価高」によって可処分所得が減少したタイミングで人づき合いへの意欲が減退し、個人志向の考え方が加速したことがわかります。
コスパやタイパと同様、「ゆとり」が失われていく中で、やや閉鎖的な価値観が広がっているのかもしれません。
ところで、この個人志向は家族の中でも個人を尊重し合い「ひとり時間」を求めることで、「おひとり様消費」につながっている側面もあります。
ひと昔前であれば、ひとりで行くことに抵抗があった焼肉、カラオケ、キャンプ、旅行などをひとりで利用する人が増加している要因でもあるのではないでしょうか。
「結婚するか・しないか」を決める境界線
図表5は「別に結婚はしなくてよいと思う」という項目のグラフです。
男女で共通して新しい世代ほど、また時代を経るほど、結婚しなくてもよいと思うようになっています。
「結婚してはじめて一人前」という昭和の価値観から大きく転換したことは明らかです。
この背景には、個人志向が広がっているだけではなく、可処分所得が増えない・明るい先行きが見通せない現状から、経済的な理由で躊躇する人もいると考えられます。さらに女性で顕著なのですが、コロナ禍にリアルの出会いが減ったことで、この考え方が急増しています。
また、男性は20代、女性は40代と、結婚しなくてもよいと考えるピークが男女で異なりますが、35歳以上の傾向は男女で共通しています。
男女の線が交差している35歳前後に、「実際に結婚するか・しないか」を決断する境界線があることが読み取れます。