自律を育てる親の聞き方

――最上位の目標を見据えながらも、日々、気になることがある時は、どう声かけをしていくといいでしょうか?

日常のささいな場面でも、基本は同じです。まずは本人の考えを最後まで聞くこと。そして、すぐに否定しないことです。

たとえば、宿題をやらずにスマホを見ている子どもに「いつまでスマホ触っているの!」と言えば、その場の空気は一瞬で悪くなります。そうではなく、「今、何してるの?」「明日はテストがあるって言っていたよね」と、状況をそのまま確かめる気持ちで声をかけます。

普川くみ子『3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた』(実務教育出版)
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子どもは内心、「このあと勉強しろって言われるんだろうな」と身がまえながら「うん…明日テストあるよ…」と答えるかもしれません。そこでさらに、「今回はどうしようと思ってる?」と問いを重ねてみます。

すると、「別に。それなりに準備してるし」とか、「いや、今回は捨ててるから」などと、本人なりの考えを話してくれることがあります。どんな答えが返ってきても、まずは「そうか」と受け止めた上で、「どう? 何か手伝えそうなことある?」と声をかけてみてください。

「じゃあ、3分たったら声かけて」などの具体的な頼みがあれば力を貸せばいいし、何も言われなければそこで一度引く。そのやりとり自体が、子どもにとって「大人から尊重された」という大切な経験になります。

大人が子どもの選択を尊重する関わりを重ねていくと、子どもは「自分で考えて決めていいんだ」と感じられるようになっていきます。一見すると当たり前のことのようですが、心配や不安から、つい大人が先回りしてしまう場面は少なくありません。

こうした関わりの積み重ねが、自分で考え、調整し、目的に向かって行動していく力――「自律」へとつながっていくのです。