子どもを産んだら、42万円が支給される

出産費用には健康保険が使えないが、加入している健康保険から「出産育児一時金」または「家族出産育児一時金」として42万円が支給される(産科医療補償制度に加入していない医療機関で産む場合は39万円)。出産育児一時金は、妊娠85日以上の出産について支給される。考えたくないことだが、流産や死産になった場合も受け取れる(ただし、在胎週数が22週未満の場合は、産科医療補償制度の対象とならないため、39万円の支給となる)。

健康保険組合によっては、健康保険法に決められた法定給付(42万円)にプラスして、付加給付を行っているところもある。この金額は組合によって、5万円、10万円など違いがある。また、東京都港区のように、区内に居住し、健康保険に加入している人に対して出産育児一時金の42万円を超えて60万円までは出産費用の助成を独自に行う自治体もある(2013年現在)。

以前は、出産費用はいったん全額立て替えて医療機関に支払い、出産後に健康保険の窓口へ請求していた。そのため、40万~50万円程度の費用を貯蓄などから捻出する必要があったのだ。しかし、今は出産育児一時金の請求と受け取りを医療機関が行い、健康保険組合などから医療機関へ直接支給される「直接支払制度」や、妊婦が加入する健康保険組合に出産育児一時金の請求をする際に、医療機関に受け取りを委任することで直接支給される「受取代理制度」などが導入され、出産後の退院時に払うのは、かかった出産費用から出産育児一時金の42万円を差し引いた額だけですむ場合が増えた。

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出産育児一時金の貸付制度

ただし、医療機関によっては、妊娠中期頃に「分娩予約金」という一定のお金を納入しなければならない場合もある。納入時期や金額などは、それぞれの医療機関ごとに違う。例えば、A産院は、妊娠20週までに30万円納入、という具合だ。もちろん、不要な医療機関もある。分娩予約金は、出産費用に充当されるので、出産育児一時金が出ればまかなえるが、立て替えが必要になる。どうしても困ったら、「出産育児一時金の貸付制度」(表参照)を実施している場合があるので、問い合せてみよう。