小中学生でブームとなっているシール交換のトラブルに親はどの程度介入すればよいのか。スクールカウンセラーの藪下遊さんは「欲しいシールが手に入らないというのは『ままならない現実に折り合いをつける練習』になる。親が無理やり手に入れたり、子どもの交換に口を出したりするのはやり過ぎだ」という――。

再ブームとなったシール交換

小中学生を中心にシール交換が流行しています。元々は平成でも一度ブームになっていましたが、その時代を経験した大人も巻き込んで再ブームになっているのです。平成でシール交換をしていた子どもが親となり、今回の再ブームで子どもと一緒にはまっている……という構図があるようです。親の立場としては、自分が好きだったものを子どもも好きになっているというのは嬉しいことですね。

特に人気なのは、クーリアが企画・製造し、サンスター文具などが販売している「ボンボンドロップシール」で、ぷっくりと立体的でつやがあるのが特徴です(以下、ボンドロと呼びます)。SNSで発信・拡散がなされたことで、各地で品切れが続いています。先日、職場近くの文具屋に目の色を変えた大人数名がボンドロをかっさらっていく様子を目撃し、ちょっと子どもの流行の枠を超えた熱を感じたところです。

ボンドロはなかなか手に入らず、フリマアプリでは定価より高く出品されています。また、類似品も発売されて高い人気になっているものもあります。海外製の模倣品(要するにニセモノ)も出回っており、フリマアプリで正規品と思って購入したら模倣品だった……というパターンもあるようです。100均でもシールは売られていますが、ボンドロとその他のシールでは「レート」に違いがあるという認識がなされているとのこと。

このボンドロをめぐり、子どもやその親、学校も巻き込んだトラブルが起こっているので、これにまつわる見解を事例も交えつつお話ししていくことにします。

海外製ボンボンドロップシール模倣品
撮影=プレジデントオンライン編集部
海外製ボンボンドロップシール模倣品

「欲しくても手に入らない」における大人の振る舞い

ボンドロは品薄状態が続いているので子どもたちは「欲しくても手に入らない」という状況なわけですが、まずは、この状況における大人の振る舞いを考えていきましょう。ちなみに、私はスクールカウンセラーとして子どもの心理的不調の改善を目指すと共に「こころの成熟」を促していくことも役割の一つですから、「子どもの成熟のために資する」という視点で述べていきます。

この「ボンドロが欲しい×手に入らない」という構図は、大人でいえば、理想の家を建てたいけど、それに見合う収入がないという状況と似ています。広い土地に思い描いた間取り、家具や調度品にもこだわった理想の家にしようとすると、どうしても収入に見合わない金額になるのが普通です。節約をする、残業を多くするなど、収入を増やす「現実的な努力」をしても届かないものは届きません。こんなときに、多くの人は残念な気持ちを収めつつ、理想の家を「下方修正」して現実的な家で折り合いをつけることになります。そして建てられた家に住んで「この家も悪くないね」と考え、多少の不満はあっても「仕方ないよね」と現実を受け容れながら生きているものです。