子どもが「可愛い」と思えれば良い
シール交換では、ボンドロであろうが類似品であろうがニセモノであろうが100均シールであろうが、子どもが「可愛い」「これが好き」と思えれば良いのです。特に、親が訝しむようなシールを子どもが「好き!」と喜んでいるなら、子どもの「こころの発達」という視点では良いことです。親と異なるものを好めるということは、子どもが親の価値観に左右されない、親とは違う人格を持つ段階にまで成長したことを示唆しています。親子の好みに違いが出てきたら、親として「子どもを自分色に染め上げていない」ということを誇りつつ鷹揚な態度で接することが大切です。
厄介なことに、この「子どもの感覚」は簡単に見えなくなってしまいます。目の前のシールに対して「ボンドロじゃない」「ニセモノ」「100均」というレートを意識させる価値観が刷り込まれていると、子どもが感じた「可愛い!」という感覚を「これは価値が低いシールなんだ」と自分で否定してしまいます。外からもたらされる情報(親の価値観、SNSで発信されている情報など)を優先し、自分の内側の感覚を大切にしなくなってしまうのです。これはブランドに左右されている大人と地続きかもしれません。
親がシールを集めるのに時間・労力・お金をかけすぎていると、子どものシール交換に口出ししたくなってしまうのが人情というものです。親が子どもと同じ趣味を楽しむのは良いことですが、子どもの内側に芽生えた柔らかでおぼろげな感覚を塗りつぶさないよう、大人として「ほどほど」のスタンスで関わっておくと良いバランスでいられるのではないかと思います。
大切なのは「すり合わせ」
勘違いしないでほしいのですが、私はシール交換自体には好意的です。日本テレビ系列のドラマ「ブラッシュアップライフ」では、シール交換を通して子どもたちが交渉術を養っている姿が描かれています。シール交換という「交渉の場」では、互いの欲求を出し合い、すり合わせて落としどころを見つけることが前提になります。こうした「すり合わせ」は、あらゆる対人関係で生じるものですから、それをシール交換というマイルドな形で経験できることはプラスに捉えて良いでしょう。ただ、シール交換をめぐるトラブルでは、この「すり合わせ」がうまくいっていないことが多いのです。


