女性の場合は5年間我慢すべし
【梅田】女性の場合はどうですか?
【小林】女性の場合、ズバリ「70歳0カ月」からが最もお得と出ました。男性と比べると、女性のほうが「繰り下げ受給のほうが得」というのが顕著です。男性よりも平均寿命が長いので、繰り下げると総額が多くなるうえに長く受け取れるのが決め手のようです。平均寿命の87歳まで生きると仮定すると、70歳0カ月まで受給開始を遅らせたとしても、約17年間も年金を受け取れるわけですから。
【梅田】繰り下げると、どれくらい違うんですか?
【小林】平均寿命の87歳まで生きると仮定し、年金受給額は月額10万円とします。「繰り上げ受給」で60歳0カ月からもらった場合、年金はトータルで2462万4000円。一方、「繰り下げ受給」で70歳0カ月からもらうと、2896万8000円で、最も年金受給額の合計が多くなります。2022年4月から繰り下げできる年齢が75歳まで延びましたが、平均寿命が延びたわけではなく、むやみに受給時期を繰り下げればいいわけではありません。
【梅田】じゃあ僕は、繰り下げ受給でいきます。67歳まで待ちますよ。それが最ももらえるんですから、そうしない理由がない!
受給には3つのパターンがある
【小林】うーん、ただ注意点はやっぱりあります。このシミュレーションは平均寿命で計算しましたが、実際の寿命はどうなるかわかりません。「○歳から年金をもらって、できれば△歳まで生きよう」と思っていても、現実がその通りになるとは限りません。そもそも、梅田さんが高齢になったときの平均寿命も読めませんからね。
【梅田】それはそうですね……
【小林】また、国が戦争や経済破綻などまずい状況に陥ったとき、「繰り上げ」「繰り下げ」といった制度や年金の計算式が大きく変わることもなくはないので、あくまで「現行のシステムで平均寿命まで生きると仮定した場合」と心得てください。また、今回は国民年金でシミュレーションをしていますが、厚生年金だとさらに複雑なルールが絡んできます。損得は、各々が加入している年金や保険料の納付状況などに左右されることをお忘れなく。
【梅田】とはいえ、年金受給には「ノーマル」「早くもらう」「遅くもらう」の3パターンがあるとわかっただけでもよかったです。
1981年福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2017年7月、東京国税局を退職し、フリーライターに転身。書籍や雑誌、ウェブメディアを中心とする精力的な執筆活動に加え、お金に関するセミナーを行っている。『超改訂版 すみません、金利ってなんですか?』『僕らを守るお金の教室』(ともにサンマーク出版)、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)、『2050年のインド経済 急成長する巨大市場の現在地と未来図』(NEXTRAVELER BOOKS)、『相続税調査でわかった 富裕層が大事にしている「お金の基本」』(講談社)ほか著書多数。
