首都圏の一角に位置し、人口はもとより工業や商業、農業、水産業でも全国屈指。高いポテンシャルを誇る千葉県に、成田空港の機能強化をはじめとするインフラ整備の追い風が吹き始めた。県の強みを生かした企業誘致で攻勢をかけるのが企業立地課の面々だ。その舞台裏とは? 全4回連載の第4回。

千葉県は「ローコスト、ハイグレード」

重点地域と重点分野を設定、好調「企業誘致」の舞台裏

千葉県は今、数十年先を見据えた新たな産業・地域づくりを進めている。近年は特に重点地域への産業集積に力を入れており、県の強みを生かした企業誘致に県を挙げて取り組んでいる。千葉県はバランスの取れた産業構造や良好な生活環境、土地と人材の潤沢さなどで知られるが、強みはそれだけにとどまらない。

誘致活動を担う商工労働部企業立地課の担当者は、自県のセールスポイントを「ローコスト、ハイグレード」と話す。立地コストが低いにもかかわらず東京に近接しており、通勤電車の混雑率が低い、レジャー施設が豊富といった理由から従業員の満足度も向上しやすい。

「まず自社施設との近接性、取引先との近接性、従業員の通勤利便性の三つが合格点に達していないと、候補地のリストに入れてもらえません。千葉県は3点をクリアする地力があるため、コスト面での魅力や千葉県ならではの付加価値をプラスすべく、令和7年度に補助制度を拡充しました」(担当者)

従業員満足の向上も支援

「千葉ウエルカム加算」とは何か

新たに加わったのは、成田空港周辺地域など千葉県経済を牽引することが期待される5地域において、デジタルやバイオ関連分野など今後成長が見込まれる4分野の工場や研究所が新規立地する場合に補助金を上乗せし、不動産取得税や法人県民税を含むオール県税相当額をキャッシュバックする制度だ。

併せて、雇用創出が急がれる外房エリアなどでは、立地要件の緩和を行うなど、地域特性に応じたきめ細やかな支援も充実させた。いずれの制度も、県の“推したい場所”を制度で表現した格好だ。

さらに、新たに立地する企業を対象に福利厚生費を支援する「千葉ウエルカム加算」も開始。新規立地から1年間、従業員が県内の観光・レジャー施設を利用したり県産農水産物を購入したりすると、1人当たり1万円を補助するという内容だ。

「本県にはテーマパークもプロスポーツの本拠地も、おいしいものもたくさんあります。ぜひ一度千葉の良さを体感してほしいというわれわれの思いをそのまま体現した制度で、立地企業さまからも好評をいただいています」(担当者)

重点地域における近年の誘致事例としては、北千葉道路沿線ではコープ共済連による事務拠点の集約が、東京湾アクアライン着岸地周辺では放射性医薬品を手がけるPDRファーマによる工場の新設のほか、柏の葉や幕張新都心においても有力な企業の進出が進んでいる。加えて、成田空港周辺では、企業誘致に向けた産業用地整備計画が着々と進行中だ。

もちろん誘致に成功しなかった例もある。だが、担当者は「それも成功へのプロセスと捉えて、要因分析などから得たノウハウを次に生かしている」と語る。

令和8年度も補助制度を見直し、研究所や一定規模以上の本社オフィスを賃貸により立地する場合に、従来の建物賃借料に対する補助に加えて、内装工事などに係る経費の補助を行うことを柱とした拡充を実施するという。

企業ニーズやエリア特性を踏まえた千葉県の戦略的な企業誘致に、今後も注目していきたい。

全国屈指のポテンシャル

企業と共に成長する県へ! 千葉県の新たな挑戦