なぜ企業立地が高水準か?
「特区」が県全域に拡大、インフラ整備も進み魅力向上
【熊谷】昨年は千葉県の産業政策にとって大きな出来事がありました。私たちがかねて国に要望していたことが実現し、それまで千葉市と成田市のみだった国家戦略特区の区域が県全域に拡大されたのです。これに伴って特区に関するワンストップ窓口を設置しました。県内にはおのおの異なる魅力を持つ地域が豊富にそろっており、さまざまなニーズにお応えできます。拠点開設をご検討中の企業の方々には、ぜひ本県にご相談いただきたいと思っています。
【翁】全域が特区に指定されている県はあまりないのではないですか。企業に選ばれる上では、この点も千葉県の大きな強みになるでしょう。
千葉県知事
1978年生まれ。神戸市出身。早稲田大学卒業後、2001年NTTコミュニケーションズに入社。07年4月、千葉市議会議員。09年6月から千葉市長。31歳での就任は政令指定都市市長としては歴代最年少。3期を務めたのち、21年3月より千葉県知事(現在2期目)。
【熊谷】県としても企業誘致に力を入れており、近年、本県の企業立地件数は高い水準で推移しています。補助金などの制度も、ニーズに応じてきめ細かく見直しを行っており、令和5年度には賃貸での立地などに対しても補助メニューを新設しました。
【翁】特に重点的に補助を行っている分野はありますか。
【熊谷】デジタル、エネルギー・環境、バイオ、マテリアル分野の工場・研究所などが、将来の千葉県経済を牽引することが期待される地域に立地する場合の補助を拡充しています。今後成長が見込まれる再生医療や放射性医薬品分野も優位性が高いと考えていまして、実際、そうした企業さまが開発・製造拠点の新設を表明してくださっています。
この動きをさらに加速させるため、道路ネットワークの整備にも取り組んでいます。広域的な幹線道路ネットワークの将来像は、企業の投資判断に大きく影響します。そのため、圏央道や北千葉道路の強化に加えて、構想が具体化しつつある新湾岸道路や千葉北西連絡道路についても、国や市町村と連携しながらしっかり進める方針です。
【翁】成長分野のスタートアップなど、新しいことに挑戦したい企業にとっても魅力的な立地になりそうですね。
【熊谷】スタートアップの成長を促すコミュニティを形成しようと、本県では昨年からスタートアップ、大企業、投資家などの交流イベントを開催しています。キックオフでは県にゆかりのある著名な経営者を招いたトークセッションを行い、大勢の参加者に集まっていただきました。私たちはこうした取り組みを通じて、日本経済を牽引するにふさわしい県にしていきたいと思っています。翁さんから見て、その際に必要な条件とは何でしょうか。
日本総合研究所シニアフェロー
1960年生まれ。京都大学博士(経済学)。慶應義塾大学大学院を修了後の84年に日本銀行へ入行。92年、日本総合研究所へ。2018年から理事長を務め、25年からシニアフェロー。規制改革会議委員などの公職を歴任、24年から政府税制調査会会長。
【翁】主に三つが挙げられます。一つ目は、人や企業が挑戦しやすい規制・制度環境です。国家戦略特区指定地域は企業にとって不確実性の低い環境ですから、この点は引き続きPRされるといいと思います。二つ目は、各企業のニーズに沿う多様な受け皿があることです。企業には立ち上げ段階のところもあれば成長段階のところもあり、立地への要望もさまざまです。千葉県はワンストップで産業構造やニーズの変化にも柔軟に対応されていますので、ぜひ継続していただきたいですね。
三つ目は、スタートアップが同じ地域の中で連続的に成長できる環境があること。これには、人材確保や資金調達、企業同士の連携などがうまく循環するようなエコシステムの構築が重要になってきます。千葉県ではこの全てが進行中ですから、将来的に三つの条件のバランスが整えば、日本の成長エンジンとして機能する地域になっていくだろうと確信しています。
【熊谷】ありがとうございます。その3条件を強く意識し、今後の支援や政策に生かしていきたいと思います。
なぜ満足度が高いのか?
ワンストップで企業の相談にも柔軟対応
【熊谷】本県は、すでに集積しきった都市に比べるとまだまだ土地が豊富で人口も伸びていて、新たな立地を求めている企業さまに最適な、バランスの取れた環境を提供できます。実際、すでに立地されている方々からは「社員の満足度が非常に高い」という声をいただいています。首都圏にありながら職住近接を実現できるため可処分所得と可処分時間が増える、週末も遠出しなくとも近隣でさまざまなレジャーが楽しめる、といった点が好評です。
【翁】千葉県は土地にゆとりがあって夏の暑さも東京ほどではなく、野菜も魚介類もおいしい。さらに職住近接が可能ですから、「住む」価値が高まっていると言えそうですね。
【熊谷】その魅力を生かして、住環境の整備はもちろん規制緩和や事業環境の整備にも全力で取り組んでいきます。千葉県への投資を検討されている企業さまに対しては、電力や水道などインフラ面での相談はもちろん、立地後も何かお困りのことがあれば解決に向けて寄り添った支援をしていきます。
【翁】今回の議論を通じて、千葉県は単に立地条件がいいだけではない、パートナー型の地域に進化しているなという印象を受けました。成田空港の機能強化や道路整備といったハード面だけでなく、職住近接や企業に寄り添った支援などソフト面の向上にも取り組まれている。日本の成長を共につくっていくパートナーであり続けたいという、知事や県の強い意志を感じました。
【熊谷】ありがとうございます。本県への投資に少しでも関心をお持ちの方は、まずは県までご連絡いただければと思います。企業の方々に「相談しがいのある県」「どこよりも親身に支援してくれる県」と感じていただけるよう、お役所的な縦割りは全て排して、柔軟にご相談に応じる体制を整えています。
【翁】日本の潜在成長率は低いですが、挑戦し続けなければ成長は見込めません。その点、千葉県では多様な挑戦の受け皿が整いつつあると感じました。今後も、人や企業が安心して挑戦できる環境づくりを推進し、かつ投資先として千葉を選ぶべき理由を明確に示し続けていただけたらと思います。
【熊谷】ご期待にお応えできるよう、しっかり頑張ります。今後も企業の皆さまのチャレンジを、全庁を挙げて支援していきます。
千葉県経済を牽引していくことが期待される地域

成田空港
全国の国際空港貨物の約65%が集中する拠点空港。3本目の滑走路の新設など、年間発着数を34万回から50万回に拡大するためのさらなる機能強化が進められている。

柏の葉
国立がん研究センター東病院や東京大学、千葉大学などの学術・研究機関やライフサイエンス分野などの企業・スタートアップが集積。

幕張新都心
幕張メッセや業務研究ビル、教育・研究施設、商業施設、住宅など、「職・住・学・遊」の複合機能が集積。

東京湾アクアライン
着岸地周辺京浜地区や羽田・成田空港とのアクセス性が高く、近年、大型商業施設や外資系企業の本社などが進出しているエリア。

かずさアカデミアパーク
かずさDNA研究所(DNA研究を専門とする世界初の研究施設)や研究開発施設(NITEバイオテクノロジーセンター)、工場などが立地。

北千葉道路沿線
外環道と成田空港を最短で結ぶ延長約43kmの幹線道路。現在、市川市から鎌ケ谷市間(約9km)、成田市押畑から大山間(約3.7km)が未開通であり、整備が進んでいる。

京葉臨海コンビナート
素材・エネルギー産業が集積する日本最大のコンビナート。千葉県全体の製造品出荷額の5割(約6.3兆円)を占める、県経済を支える要の地域。
企業と共に成長する県へ! 千葉県の新たな挑戦
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