夫も脱サラ、事業を拡大

「もう、いつ辞めてもええで」

奈緒美さんが夫に言い続けていた言葉が、2021年、現実になった。しいたけだけで年商800~1000万円、アスパラと合わせれば2000万円超。農業で生活できる収入に達していた。夫の脱サラと同時に、1500万円を投じてアスパラハウスを8棟から15棟に拡張した。

夫に加え、現在は親戚の手も借りながら運営している
提供=瑞雲ファーム
夫に加え、現在は親戚の手も借りながら運営している

アスパラの収穫期、奈緒美さんは朝4時過ぎに家を出て、薄明るくなった4時半から収穫を始め、11時に2回目の収穫。真夏は午後1時には作業を終えないと熱中症の危険性がある。息子のサッカーの送迎は、片道1時間半。練習がある日は夜10時半に帰宅し、風呂に入って寝るのは深夜12時。必然的に短時間睡眠になるサイクルだ。

「私と旦那は、ガチで365日仕事してます」

ただ、毎日働いているからといえど、休みがないわけではない。「今日絶対やるべき仕事」と「今日やらなくてもいい仕事」を分け、朝に「昼寝する」と決めて、出荷作業だけ終えて帰る日もある。

提供=瑞雲ファーム
新設したハウスは、設定温度や気候の状況に合わせて窓が自動で開く設備を採用

「米や野菜が高いって報道されるけど、それは当たり前やと思います。『私たちの早朝手当、誰がつけてくれるん?』って。こういう背景は、農家になって知ったことですね」

それでも投資はやめない。「これいいかも」と、いつも何かアイデアが浮かんでくる。その一つが、野菜の自動販売機だった。