伊賀市民も知らなかった特産品アスパラ
栽培、販路開拓と同時に、インスタグラムも開設した。目的は全国のアスパラ農家とのつながり。栽培の様子、納品の様子、梱包のデザインなどを発信し、少しでも知識を吸収したかったが、次第に別の思いも芽生える。
「伊賀のアスパラを知ってもらいたい」
伊賀市で育ったにもかからず、奈緒美さんはアスパラ部会に入って初めて、アスパラが伊賀の特産品の一つであることを知った。市内に30軒以上のアスパラ農家がいることは知らなかった。周りの友人も、誰も知らない。伊賀といえば伊賀米や忍者ばかりで、伊賀市民でさえアスパラの認知度が低いことに奈緒美さんは衝撃を受けた。
「伊賀のアスパラ生産者は高齢者が多く、PRするツールを知らない人がほとんどでした。『だったら私のSNSで知ってもらおう』と思って」
インスタから始まった全国発送
ある日、インスタグラムにDMが届いた。「アスパラ食べてみたいです! 発送はしていますか?」
発送か――! そこで初めて全国発送という選択肢に気づいた。
DM、LINE、電話、メールで注文を受け付けたところ1~2年目はシーズン中に2、3件。3年目から口コミで徐々に増えていった。
転機は2018年5月。東海地方のローカル番組に取り上げられると、放送直後から電話が24時間鳴りやまなかった。「私が電話を取れて注文を受け付けられた人はラッキー。何回かけても繋がらないという人もいて、大変でした」と苦笑する。
翌年、全国放送の出演が決まると、さすがに電話対応は無理だと判断して、急いでオンラインショップを立ち上げる。現在は春に収穫した「春採りアスパラ」だけで年間数百件の注文が入る。売上は5年間で3倍に伸びた。
「明確にブランド化しようとは思っていませんでした。『こうしよう、ああしよう』とやってきたことが、結果的にブランディングになっていった。瑞雲ファームのアスパラを食べてほしい一心やったから、狙ったわけではないんです」