「浪人回避を願う親」と「挑戦したい娘」

私立高校に通っていたとある女子生徒は『ドラゴン桜』を読み、東大を目指すようになりました。将来の夢は医師。だから必然的に、志望校は東大理3。しかし、この決断に両親は大反対でした。

彼女の両親には「浪人だけはさせたくない」「受からなかったら可哀想だ」という強い意向がありました。高3の受験直前になっても、合格可能性の低い理3に挑戦するのではなく、少しでも可能性のある他大の医学部への受験を勧めてきたといいます。

彼女は4つの塾と習い事に通い、部活動にも精力的に取り組んでいて、人一倍の努力家でした。それでも時折「これだけやってるのに落ちたらどうしよう」と精神的につらくなる時もあったそうです。自分ですら自身の成功を信じられないなかで、一番の味方であるはずの親御さんから「無理だ」と言われる絶望感は、勉強の苦しさよりもはるかにつらいものがあったのでしょう。

彼女は高3になっても東大模試でA判定が取れず、親御さんの心配はますます膨れ上がり、「理3は諦めた方がいい」と説得される日々が続きました。しかし、それでも彼女の理3に憧れる気持ちは強まるばかりで、どうしても理3に挑戦したいと譲りませんでした。彼女自身も根気強く説得を続け、最終的にはどうにか気持ちを理解してもらって東大理3に出願。見事に現役合格を果たしました。

もちろん、ご家庭の都合で、どうしても志望校に制限が生じてしまうこともあるでしょう。しかし、安全な道へ誘うことは挑戦心を削ぐことにつながりかねない。受験は本人の挑戦であり、本人の人生の出来事です。様々な事情を全て理解した上で、それでも挑むと受験生自身が決めたのであれば、親が踏み込みすぎるのは良いこととはいえません。

勉強している中学生
写真=iStock.com/Milatas
※写真はイメージです

“ちょっとした裏切り”に深く傷つく

【タイプ2:孤独に寄り添わない行動をする】

2つめは、行動による裏切りです。

言葉はなくとも、親御さんの行動によってメンタルを揺さぶられたと語る受験生もいました。

冬休みの受験生は極度の緊張状態にあるため、普段以上に周囲の変化に敏感になります。受験生にとって、家族は最大の味方です。家族全員で挑むんだ、協力してくれているという気持ちが、つらい時の心の支えにもなります。だからこそ、裏切られたと感じると、心のバランスが大きく崩れてしまう恐れがあります。

私立の女子校から現役で東大理3に合格した受験生の話です。彼女は両親が厳しく、成績が上位のクラスにいないと叱られるような家庭環境で育ちました。受験が本格化した高3の夏以降は、日々の楽しみだった外食を家族全員で控えると決めたのだそうです。テレビを見ながらダラダラ食事をするような習慣もなくし、食事の時間すらストイックに勉強に充てるようになりました。