曖昧な経歴には要注意

2.経歴と研修期間を具体的に確認する

クリニックのウェブサイトや医師紹介ページで、経歴を確認しましょう。その際、「○○美容クリニック 研修修了」といった曖昧あいまいな記載だけでなく、「○○病院 形成外科にて△年間勤務」のように、どの診療科でどれくらいの期間、臨床経験を積んできたかが具体的に記載されているかを確認することが重要です。

残念ながら、中には数週間から1、2カ月の短期間の研修を受けただけで、あたかも十分な経験があるかのように経歴に記載しているケースも見受けられます。研修期間が具体的に、かつ正直に記載されているかどうかも、信頼性を見極めるポイントの一つです。

自らで納得できる医師選びを

3.リスクや副作用の説明を正直に行うかを確認する
大塚篤司『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)
大塚篤司『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)

カウンセリングでは、治療の良い点だけでなく、起こりうるリスク、副作用、合併症、ダウンタイムについて、隠さずに具体的に説明してくれるかを必ず確認してください。質問に対して真摯しんしに答え、たとえ不利な情報であっても正直に伝える姿勢があるかどうかは、医師の誠実さを見極める上で非常に重要です。メリットばかりを強調し、リスク説明を軽視したり、曖昧にしたりする医師や、不安をあおって高額な治療を強く勧めてくるような場合は、一度立ち止まって考えるべきです。信頼できる医師は、患者さんがすべての情報を理解し、納得した上で治療を選択できるよう努めるはずです。

美容医療は、医師の知識、技術、そして経験によって結果が大きく左右されます。広告や価格だけで安易にクリニックを選ぶのではなく、担当する医師がどのようなバックグラウンドを持ち、どのような姿勢で診療に当たっているのかをしっかりと確認し、納得した上で治療を受けるようにしましょう。

大塚 篤司(おおつか・あつし)
近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授

1976年生まれ、千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より現職。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーに、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行う。