不倫相手と再婚した男の末路

理恵さんは常識のある落ち着いた女性でしたが、相当精神的に追い詰められていたのだと思います。

結局、理恵さんのケースでは、夫が不倫を繰り返していることを理由に、関係改善をあきらめ、離婚を目指して介入していくことになりました。

夫のほうも、理恵さんを捨てて不倫相手の病院令嬢と再婚したいと思っていたので、あとは離婚までスムーズに進みました。

理恵さんは当初落ち込んでいましたが、その後一念発起して始めた事業が当たって、いまでは小規模ながら女性社長として活躍されています。

一方、元夫のほうは、結局、病院令嬢と再婚したものの結婚生活は長続きせず、再び離婚、学校にも居づらくなって教師も辞めてしまい、不安定な生活を送っているとか。

結果から考えれば、関係回復より離婚を選択して良かったケースだと思います。

離婚を迷う人に「カウンセラーが勧めること」

離婚したほうがいいのか、それとも、不満はあれども結婚を継続したほうがいいのか、その判断はとても難しいもの。私のカウンセリングでは、離婚するかどうか決断するために、以下のような思考実験をやってもらうことがあります。

目の前で夫/妻が事故にあい、瀕死の状態だったとします。
この時あなたはどう感じますか?
「ざまあみろ」と思って会心の笑みを浮かべますか?
それとも、夫/妻のことを大事に思って泣いてしまうでしょうか?

この思考実験で「ざまあみろ」と思うくらい、相手への憎しみが深い場合は、もはや離婚したほうがいいと思います。

今回のケースのように、パートナーの不倫が判明した場合はどうすべきでしょうか。離婚を考えるべきでしょうか。それとも割り切って結婚生活を続けるべきでしょうか。

岡野あつこ『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』(講談社+α新書)
岡野あつこ『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』(講談社+α新書)

結婚生活においてパートナーの不倫は大問題です。パートナーの心を傷つけ、関係にひびを入れてしまいます。

ただ、結婚とは経済的な関係でもあります。特にお子さんのことを考えると離婚しないほうがいい、という場合も多いでしょう。そういう場合「1回きりの浮気」と割り切って結婚生活を続けるという判断も大いにあり得るとは思います。

ただ、不倫がバレた後も関係を継続していたり、何度も不倫を繰り返すようなケースは、「悪質なケース」として、離婚を考えたほうがいいと私は思います。

離婚と結婚継続、どちらが本当に幸せな選択肢なのか。

1度きりの人生ですから、後悔のないようしっかり考えてから行動を起こすことが大事です。

岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理士

NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚相談所を設立。離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立する。これまでに35年間、4万件以上の相談を受け、2200人以上の離婚カウンセラーを創出。著書に『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など多数。近著は夫婦の修復のヒントとなる『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。
離婚救急隊