自分で備えるのならiDeCoがベスト

やはり公的年金に上乗せして老後の生活にゆとりを持たせたいということであれば、貯蓄や投資はある程度必要だと思いますが、少なくとも「個人年金保険」や「毎月分配型投資信託」がそれに相応しいものであるとは思えません。

老後の資産形成に向けて利用するのであれば、制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)が最も有効だと思います。

大江英樹・大江加代『知らないと損する年金の真実【改訂版 2026年新制度対応】』(ワニブックス【PLUS】新書)
大江英樹・大江加代『知らないと損する年金の真実【改訂版 2026年新制度対応】』(ワニブックス【PLUS】新書)

勘違いしている人もいますが、iDeCoというのは制度の名前であって、商品ではありません。リスクがある程度取れる人は、iDeCoの中でできるだけ手数料の安いインデックス型投資信託を使って積み立てていけば良いですし、価格変動のリスクは一切取りたくない人であればiDeCoで定期預金を運用商品として指定しても良いのです。

いずれの場合でも所得控除がありますので、税金の戻り分を考えると現在の定期預金のようにほとんど金利がゼロに近くても、実質の利回りは15%とか20%になる場合だってあります。

30年も40年も据え置いた挙げ句、年利ではせいぜい0.4%ぐらいしかならず、且つ解約すると元本を割ることの多い「個人年金保険」や手数料のバカ高い「毎月分配型商品」よりはよほど賢い選択と言って良いでしょう。

大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

1952年大阪府生まれ。オフィス・リベルタス創業者。大手証券会社で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事。定年まで勤務し、2012年に独立後は、「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるように支援する」という理念のもと、資産運用やライフプランニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行った。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。著書に『投資賢者の心理学』(日経ビジネス人文庫)、『定年男子 定年女子』(共著・日経BP)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)、『お金の賢い減らし方』(光文社新書)など多数。2024年1月没。

大江 加代(おおえ・かよ)
確定拠出年金アナリスト

大手証券会社にて22年間勤務、一貫して「サラリーマンの資産形成ビジネス」に携わる。確定拠出年金には制度スタート前から関わり、約10年間投資教育の他、運営実務のサポート業務に従事した。2012年9月に大江英樹とともにオフィス・リベルタスを設立。2022年9月に代表取締役に就任。現役世代の資産形成・定年前後のライフプラン等をテーマとするセミナーや研修での講演の他、各種マスコミや媒体への寄稿等を行っている。著書に『「サラリーマン女子」、定年後に備える。』、『新NISAとiDeCoで資産倍増』(ともに日経BP社)、『iDeCoのトリセツ』(ソシム社)、『定年後夫婦のリアル』(大江英樹と共著・日本実業出版社)など。