大人気だった「毎月分配型」は何が問題か
保険ではなく、投資信託にも年金受給者に人気のある商品があります。それが「毎月分配型投資信託」と言われるものです。
特にサラリーマンだった人は現役時代、毎月決まった給料日にお金が銀行に振り込まれていました。つまり、放っておいてもお金は毎月振り込まれるものだったのです。ところが公的年金は毎月ではなく偶数月の15日しか入ってきません。
そこで1カ月ごとに決算を行い、収益等の一部を分配金として毎月分配するようにした投資信託=「毎月分配型投資信託」に人気が集中したのです。「年金のように決まった金額を受け取れる」ということで、ひと頃は人気上位の投資信託のほとんどがこのタイプだったこともありました。
しかしながら、この投資信託は問題も多いのです。そもそも投資信託は価格が変動する株式や債券に投資をするものですから収益がいくら出るかが決まっているわけではありません。当然値下がりすることもありますが、その場合でも分配金が支払われます。運用して儲かっていないのに収益が支払われるということは、元本を取り崩しているということです。
リスクも手数料も高いというデメリット
ところがこの投資信託を買っている人の中には、その辺りの説明を十分に受けていないか、あるいは受けていてもあまり理解していない人も多くいます。そこで気が付いてみたら元本が大幅に減っていたということもあり、クレームになったり、場合によっては訴訟になったりしているのです。
それにそもそもこのタイプの投資信託は他に比べると非常に手数料が高いことも問題です。
もちろん、年金受給者には定期的に入ってくるキャッシュフローが欲しいという気持ちがあるのはよくわかります。でもそうであれば、投資信託の定期売却サービスもありますし、定期的に受け取りたい部分とそうでない部分を分け、受け取りたい部分は預金や証券総合口座のMRFなどにしておき、使う分をそこから引き出し、そうでない部分はもっと手数料の安い投資信託で運用をすればいいのです。
それに毎月分配型投資信託の場合、分配金の原資を得るためにオプション取引などを使うこともありますから、リスクも高い場合があるし、複雑な仕組みになっている分、手数料が高いという面もあります。