親が守るべきたった一つのルール

では、どうすれば過干渉にならず、適切な距離感で関われるのでしょうか。あれこれルールを覚える必要はありません。たった一つ、これだけを意識してください。

それは、「自分が消耗しない範囲で関わる」ということです。

なぜ、親が献身的であればあるほど、事態が悪化してしまうのか。それは、親御さんが「無理をして自分を消耗させてしまっている」からだと説明しました。

嫌々ながらも子どものためにと我慢して食事を作ったり、本当は休みたいのに送迎をしたり……。親御さんが身を削って尽くせば尽くすほど、家庭内には「私はこれだけ我慢している」という重たい空気が流れます。すると、お子さんは「お母さんが辛そうなのは僕のせいだ」「自分は親を苦しめる存在なんだ」と感じ、自己肯定感を失い、動けなくなってしまうのです。

だからこそ、「こんなに何もしなくていいのかな?」と不安になるくらいで丁度いいのです。あなたが消耗せずに笑顔でいること。それだけで、十分すぎるほどお子さんのためになっているのです。

焼肉屋で楽しそうに食事をする親子
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

まずは「自分自身」に献身的になろう

自分が消耗しない範囲をクリアにするために、実践的なワークを提案させてください。

【ワーク1】「本当はやりたくないこと」を書き出す

「子どものために」と我慢してやっていることを、一度書き出してみてください。

「毎日の完璧なご飯作りをサボりたい」
「夫の世話までしたくない」

なんでもいいです。そして、それを「やめてみる」あるいは「手を抜く」方法はないか考えてください。「私がやらないと大変なことになる」というのは、案外思い込みだったりします。あなたが眉間に皺を寄せて作った完璧な料理よりも、買ってきたお惣菜を笑顔で食べるお母さんの姿の方が、子どもにとっては数倍、心を満たす栄養になります。


【ワーク2】「自分自身」に対して献身的になる

今までお子さんに注いできたその膨大なエネルギーを、少しだけ「自分」に向けてみてください。

「自分のために献身的にするなら、今、自分に何をしてあげる?」と問いかけてみてください。泥のように眠ることかもしれない。好きなアイドルの動画を見ることかもしれない。友達と少しリッチなランチに行くことかもしれない。それを無理のない範囲で実践してみてください。